旅行記
2020/01 谷川岳(泊)
谷川岳は群馬県と新潟県の上越国境にある1,977mの山である。
今年は厳冬期とはいえ、今年は寒気の入りが弱く、冬型が長続きしない。
そこで1月の厳冬期に1泊で行けるチャンスであったので谷川岳である。
まだ谷川岳の積雪は、ロープウェイ駅で130cmとまだまだ。
150cmくらいまでなら途中の熊穴沢避難小屋が何とか利用可能で、
途中退避できる場所がある安心感は大きい。
今の時期は、肩の小屋に泊まると、大雪で下山できなくなる恐れがあり、
ワカン・スコップなどのスノー装備が必要だ。
(ただし、下り基調なのでワカンなしでも何とかなるというご意見もある)
足は冬靴のモンベル・アルパインクルーザー2800(累計15日使用)。
なお、今回で73回目の谷川岳だ。
1日目
朝発で急ぐため、高崎から新幹線で上毛高原駅へ。
上越線経由よりも1000円くらい高いが、30分短縮できる(その分家で寝れる)のは大きい。
東京〜新大阪の「のぞみ」で5,810円、515.4km(1,127円/100km)だが、
高崎〜上毛高原では、880円、41.8km(概ね2,100円/100km)なので、
短距離だとやや高いのは致し方ない。
朝早い「たにがわ」は乗車率60%程度と結構乗っている。
関越道下りの渋滞も5時くらいから始まり、同じく上りの渋滞は14時くらいから始まるように、
スキーでは早朝出発し、夕方には帰還するのが基本パターンである。
このため朝イチの新幹線はたくさん乗っていて混んでいる。
5時くらいの新幹線があればいいのにな(代わりに保線時間確保のため23時終電か)。
上毛高原駅からはバスでロープウェイへ。
朝イチの便なので通路までいっぱいになるほど。新幹線からダッシュして乗るのがいい。
天神平の積雪は130cmと少ない。
もちろん登山届を提出。
冬の谷川岳では事故が多発しているので要注意。去年は2人死亡。
ご冥福をお祈り申し上げます。
冬の入山者数は不明だが、
土日・晴天時でロープウェイからは200人程度だろうと思われるので、
シーズン通し(1月〜3月)では同様に4,000人くらいだろう。
他ルートも合わせて10,000人なら、死亡率は総合的にも0.02%くらいとなる。
水平歩道でも0.2%くらいなので0.02%は冬山としては標準的か。
ロープウェイに乗り天神平へ。
田尻沢コースが供用開始されたが、
コース終点からロープウェイまで公道を100mくらい歩くという、
ほかのスキー場ではなかなかないコースレイアウトだ。
道路にもうちょっと雪があれば、スキーでハの字歩きして登れるはずだが、
結局ロープウェイに乗るには板を脱ぐ必要があるので、コース終点で脱ぐ人がほぼ100%だ。
ロープウェイは、往復2100円+手荷物520円だが、モンベル会員で100円引きになる。
手荷物料金は10kg以上で必要になる。
通常、BCスキーヤーは板も含めて10kg超えているだろうが払っているかは不明。
前回は重くてつらかったので軽量化に努め、積雪期のテント泊としては17kgと軽く収まった。
天神平から歩き始める。
トレースは天神峠方面へ上がっている。
天神峠手前の広場(1,420m)に出る。
猫耳がばっちり見える。冬は眼も見える。おすすめ展望ポイントだ。
尾根どおしの冬道だが、やや藪っぽい。
このくらいの積雪なら夏道のほうが歩きやすそうだが、
夏道はトラバースで雪質によっては危ないことから、このような冬道が正解だ。
進む。
「熊穴沢の頭」付近の切れ落ちているところは要注意。
お助けロープがあるが、あまり体重をかけないよう。
熊穴沢避難小屋はこのくらいなら何とか掘り出して利用可能。
しかし、スコップは必ず持参する必要がある。1トンくらい雪かきが必要で大変。
登る。
天狗の留場付近。
正面はすごい大パーティが続いて登っている様子が見える。
渋滞気味でややペースが遅いが、こちらも荷物17kgで重いので、ちょうどいいくらいだ。
天神ザンゲ岩付近。
肩の小屋。
-7℃と昼間にしては結構寒い。
巨大雪庇ができている。
稜線上は風で雪が飛ばされるので、例年よりやや雪が少ない程度に見える。
写真を撮ってもらう。軍手は作業用インナー手袋。
肩の小屋がかっこいい。
山頂。
山頂標識(木製)をアイゼンで踏んで記念撮影する人がいて(そういった写真がアップされている)、
山頂標識にアイゼンの傷がついている。
パノラマ。
北アルプスもばっちり見える。左端は剣岳。
オキトマ間の登山道は谷川岳のハイライト区間だ。かっこいい。これぞ冬山。
山頂から徒歩5分の奥の院を目指すが、雪が硬く、滑落に注意。ピッケルが必要。
奥の院。
振り返る。
一ノ倉の岩壁がすごい。
パノラマ。
帰りも凍結斜面を慎重に戻る。
一歩踏み外すと奈落の底まで凍結斜面が続ている。死亡だ。
天神峠付近にも雪訓のテントが複数設営されていた。
小屋に戻る。
小屋は僕のほかには1人×2PT。つまり計3人の宿泊だ。
こんな時期にこんな場所に泊まる人はかなりの山屋であるので、
たいてい山談義で盛り上がる。
今回搬入食糧。
2日分である。
水は雪から水を作っているので飲料水を大量に持ってくる必要は少ない。
ガスは200gを持参し、150g程度を使用。
あまり節約せずに使っていたためで、節約すれば半分くらいで済むだろう。
小屋の暖房にもなるほか、衣類の乾燥にも使えるが、燃えないように要注意。
夕飯を食べていると暗くなってきた。
下界の夜景が輝きだす。
ナイター営業のスキー場が明るい。
それ以外のスキー場でも、コース整備の機械のヘッドライトが見える。
気温はマイナス12℃と、冬の谷川としてはこんなもんだろう。
すっかり暗くなった。
小屋でも寝る準備が進んでいる。
では、寝る。
19時半就寝。
2日目
5時起床。9時間睡眠。
モンベル0#(-6℃まで)+メスナー寝袋(15℃まで)+ホッカイロ4枚+ダウン上下でぬくぬく熟睡。
スマホ温度が-1℃だったので、寝袋付近は-3℃くらいだろう。
足にはホッカイロミニを貼るとちょうどいい(標準サイズでは熱すぎる)。
これでかなり暖かく、むしろ軽く汗ばむくらいの感じで寝れた。
まだ暗いので4WのLEDライトをつけて朝食を食べる。
2Lペットボトルで持ってきた水は凍ってしまったので、解凍している。
10℃くらいの温水にしておくと、日中、凍りにくい。
明るくなってきた。
掃除をして撤収。
山頂を目指す。
ロープウェイが動き出すと一気に人が増えた。どんどん登ってくる。
頂上。
越後側に落ちないように注意。
荷物はバケツを掘ってから置くこと。
パノラマ。
トマの耳に戻る。
なんだかケーキっぽい。生クリーム系のケーキが食べたくなる。
再び写真を撮ってもらう。
肩の小屋がかっこいい。天空の山小屋だ。
山頂の雪庇には要注意。
雪庇の上を歩く人がいるが、うっかりやってしまうことが多いので危険。
といっても雪庇が崩れて人が落ちたのは1回しか見たことがないが。
マチガ沢に滑降していくスーパーエキスパートBCボーダーが。
小規模な表層雪崩を起こしながら下っていった。
このくらいの斜度だと多少の雪崩なら問題ないが、
規模が大きくなると、雪面と板の相対速度がゼロになり揚力を失い、雪崩の中に沈む。
肩の小屋に戻り、荷物を整えて下山にかかる。
かっこいい。
どんどん下れる。
途中、雪が硬く、滑落に注意。
熊穴沢避難小屋まで降りてきた。
下山は快速だ。
天神平に戻ってきた。
ロープウェイで降りる前に補給する。
ご飯ONLY400gも食べると血糖値爆上げで30〜60分後には眠くなる。これで帰りのバスで寝る。
健康には超悪い諸刃の刃、おススメできない。
気温はマイナス4℃、積雪130cm、この時期としては異常に積雪が少ない。
2015-16年シーズンの異常小雪と同じか、それよりも少ないくらいだ。
例年だと積雪300〜400cmくらいになる。
この調子だと今年は平ヶ岳は無理かもしれない。
帰りは、ロープウェイ駅からバスに乗り、上毛高原駅で降りる。
荷物が非常に大きく(90Lザック満載)、混雑するバス内での取り扱いは気を使う。
行きは冬靴を別途持って行ったが、帰りは90Lザック内に収容できたので少しマシになった。
14時のバスならば、始発のバスで登った公共交通機関組が間に合わないので、まだ空いている。
15時のバスは非常に混雑するので、できれば14時のバスに乗りたい。
上毛高原駅からば新幹線で高崎へ。
登り:0925→1205(肩の小屋)
下り:(肩の小屋)1200→1305
以上、無事に帰還。総費用 16k。