旅行記



2018/12 谷川岳(熊穴沢避難小屋)


谷川岳は群馬県と新潟県の上越国境にある1977mの山である。

12月になり冬型の出現率が高くなってきた。
が、高気圧に覆われて半日だけ晴れる予報となっている。
そこでさっそく1泊2日で谷川岳に行ってきたものだ。
1日目は冬型気圧配置で大荒れの天気の見込みだが、
だんだんと高気圧に覆われていくので回復傾向なので何とかなるだろう。
高気圧の中心が来るまでは冬型気圧配置になり吹雪になるが、
高気圧の後ろ側になると高い雲が多くなっていくので、
正味で晴れるのは数時間しかない。
わずかなチャンスをとらえて登頂する必要がある。

登山者800人以上がこれまで死んでいる谷川岳、
油断と慢心は厳禁だ。
装備としては、
天神尾根往復オンリーならば、ストック+軽アイゼンでも何とか可能だが、
急傾斜が多く、正規アイゼンが歩きやすいだろう。
実際、9割が正規アイゼンである。

ラッセルが予想されるので、ワカン・ピッケル・スコップを持参。

なお、今回で62回目の谷川岳だ。





1日目




朝発で急ぐため、高崎から新幹線で上毛高原駅へ。
+1,000円で約30分多く寝ることが可能。
と思ったら、タッチの差で乗り遅れる。不覚。
ということで在来線で水上まで行き、水上からバスに乗る。
なお、結果論だが、ラッセル泥棒する気満々なら、
天神平を12時に出発するように行けばいいが、
そんな奴はそもそも冬山に来ないだろう。
渋川は積雪はなかったが、沼田では積雪があった。
水上では積雪15cmで吹雪いている。


一気に積雪が増えて90cmに。
2日前に登頂した記録がヤマレコであるが、2日で50cmくらい降っているのでどうだろう。


ロープウェイに乗り天神平へ。
ではスタート。早速歩き始める。


スキー場を登って行く。
すぐにラッセルの先頭に追い付く。
強力な山岳会のパーティがラッセルしている。


ラッセルとなりなかなか時間がかかる。
コースタイム15分の天神峠分岐まで、5倍の75分を要する。
このような状況ではとても肩ノ小屋まで行くことは不可能、熊穴沢避難小屋泊に変更する。


ラッセル。
日帰りチームは諦めてみんな帰ったので、荷物が大きい泊まりチームのみだ。


ラッセル。



さいご、僕が先頭でラッセルして熊穴沢避難小屋に到着。
14時40分。天神平から4時間20分を要する(コースタイムでは45分)。
さっそく、入り口を掘り下げて出入りできるようにし、内部に避難にする。
入り口を開拓すると一気にみんななだれ込んできて大騒ぎ。


で、こんな状況だと明日の登頂が危うい。
同じ行程を予定している別のパーティから協力を要請され、
共に明日のルート工作を行う。
画像は先頭が僕。(この画像はいただいたもの)


だいぶ登ってきた。



登山道のくぼんだところに雪が吹き溜まっていて、胸くらいまでのラッセルになる。
小型軽量高出力の山女子がぐいぐいラッセルしていってかっこいい。
3人で交代して、1時間ほどラッセルし、標高1550m地点付近までルートを開拓する。


で、疲れたので小屋に戻る。



今回搬入食糧。
今回は予備は少なく、約5,000kcalだ。
燃料は250gも搬入してふんだんに使える(暖房としてもOK)。


小屋の前にはテント2張+小屋の裏山に1張りの3張り、小屋内には3人で、計21人ほど。
みんなエキスパートばかりで頼もしい。


小屋内では圏外になるが、水上方向に向けるとかろうじて電波も通じる。
明日の天気予報を仕入れると、よく晴れそう。


小屋内部は4m×2.5mほどで、約6〜8畳ほど。
0.7WのUSBライトで明るい。
小屋は僕のほかにはルート工作した高出力山女子の2名。
3人なら広々だが、ベンチに寝ることになるので就寝定員は4人。
それ以上だと土間に寝ることに。
21人のうち18人はテント泊、
僕は非常用に夏用テントしか持ってきていないので、小屋にお世話になる。
あと0.5kg重くなるが冬用のメスナーテントを持ってくればよかった。

20時就寝。
遠くのテントは宴たけなわゲートウェイ状態だが、特に気になることはなく寝れた。


2日目

4時起床。8時間睡眠。
モンベル0#(-6℃まで)でぬくぬく熟睡。
外気温はマイナス7℃程度だろう。
小屋内は、スマホのバッテリーが1℃で、
水が凍っていたので、マイナス1℃くらいだろう。
(長時間放置時のスマホバッテリー温度は、気温+1.0〜+1.5℃程度である)


暁の地平線。
テントのパーティも5時くらいに起床していた。


準備をしていると明るくなってきた。
雪が深く、登頂が危ぶまれたが、
テントの3人と下から来たBCボーダー1人が先行してラッセルしていて、
なんとかなりそうだ。


谷川岳が見える。いい天気になりそう。



日の出。



朝陽に照らされる。



登る。



正面がラッセルの先頭付近。
雪がやわらかく、歩行抵抗が大きい。
しかもラッセル軍団のパワーがすさまじく、なかなか追い付かない。


日が高くなってきた。



かっこいい。



肩ノ小屋。
熊穴沢避難小屋からは1時間45分で到着(コースタイムは1時間30分)。


かっこいい。



気温を確認するとマイナス9.5℃。そりゃ寒いわけだ。しかも風速10m/s程度。
このため凍傷に厳重注意。うっかりするとマジで鼻がもげる。
飲み水も凍ってしまうのでザックの中に入れるが、それでも凍る。
少し多めに持ってくるのがよい。


肩ノ小屋がかっこいい。天空の別荘だ。(今回は泊まれなかったが)



トマの耳。



富士山も見える。



西黒尾根を登ってくるパーティが見える。
西黒尾根は技術的に難易度が高い。僕には無理。


谷川岳頂上。



三角点がないので標識にタッチ。



360度パノラマ。横3600PIX



人が来たので写真を撮ってもらう。
(軍手は作業用であり、通常はグローブを使用している)
ちなみに僕はコンデジを使っているが、スマホでの写真撮影をベテランの人に依頼すると、
「冬山で他人に手袋を外させるとは何事だ、お前は冬山に来るな」
とか言われて撮ってくれない事案があったようで、
スマホで依頼する場合には、同様にスマホを使っている人に頼むのが正解のようだ。
(スマホユーザーの場合、スマホ対応の手袋インナーを使っている可能性が高い)


天神山方面を見ると、
天神山手前の山頂に7張り、登山道の途中に5張り、下の夏道分岐地点付近に6張り、
計18張りが確認できる。
あくまでこれは昼の時点なので撤収済みのものもあるから、もっと多かっただろう。


では、高気圧の背面に入って雲が多くなってきたので下る。
肩の広場ではボーダー・スキーヤーが高速走行している。


ロープウェイの始発が動き出してからはすごい人数が登ってくる。
今日だけで300人くらい登頂してそう。


避難小屋で宿泊荷物を回収して下山する。



天神平に戻ってきた。



ロープウェイで降りる。
まだ田尻沢コースは営業していないが、滑走跡が3人分あった。


また積雪が増えた。



ロープウェイ駅でラーメンを食べる。
その後はバスで上毛高原まで移動し、駅そばを食べる。
そして新幹線で一気に高崎へ。
この区間なら「タッチでGO新幹線」を利用できるので、
券売機に並ばず、そのままいつものSuicaで改札を通れて便利。
券売機は長蛇の列だったりして焦るパターンが多いので助かる。

以上、無事に帰還。総費用 16k。