旅行記
2016/11 航空自衛隊 輸送ヘリ(CH-47J)搭乗
今回も体験搭乗することができたものである。
搭乗機は入間基地所属のCH-47Jだ。
計30人ほどが、8回に分けて、1回の搭乗で20分ほどのフライトである。
240人のうち、一般人抽選枠は100人で主に親子であった。
将来の自衛官育成という意味では、子供を乗せるのがやはり正解だ。
このため?航空祭で見るようなでかいレンズを持った人は皆無。
倍率は入間基地の事例では30倍くらいらしい。
このほか、空自隊員の名札をつけた就活生or隊員1年生?が、
何人も搭乗していた。
これは、熊谷基地(または入間基地)への応募で採用された人で、
自衛隊への理解を深めるために体験搭乗させているものだろう。
(通常は幹部や防衛省の採用でもそのようなことはないだろう。)
CH-47Jの運用コストはおそらく200万円/時ほどで、
戦闘機などに比べれば安いが大型回転翼機なのでなかなか高い。
20分×8回+入間からの回送往復30分=190分=630万円。
このほか、会場設営、案内、非常対応(消防車や救急車)などで、
自衛官100名ほどがこれに駆り出されているから、人件費200万円。
計830万円程度が所要経費か。
これで実際の搭乗者数は200人程度だったので4万円/人くらいだろう。
やっぱり軍用機は金がかかるものであるが、
金を積んでも軍用機においそれと乗れるものではないから、
こういったイベントは大変ありがたい。
受付するとこんな手製のパンフレットをはじめ、
色々資料や航空自衛隊グッツ(A4クリアファイルなど)が配布される。
(左)
基地内の体育館でしばらく待機。
(右)
時間がくると、氏名を確認し認識票(招待者用の臨時認識票)を配布され、
バスに乗せられ滑走路(跡)へ。
この認識票は、死亡する危険が高い任務の際に装着することとなっていて、
例えば、航空機搭乗中、海外派遣中、防衛出動中などがそうである。
装着は、ただ首に掛けるのではなく、下着の下に装着するようにとのこと。
おそらく死亡するような衝撃を受けた際に、吹っ飛ばないようにだろう。
http://www.clearing.mod.go.jp/kunrei_data/g_fd/1963/gy19630904_00048_000.pdf
自衛官に配布される認識票は2枚組みになっていて、
戦死した場合に1枚を回収し戦死報告用に、
もう1枚は切り欠きで歯をこじ開けて口にはめておくが、
招待者は戦場で戦死する恐れはないからか、招待者用は1枚のみである。
熊谷基地の滑走路跡には既にCH-47Jが待機中。
入間ヘリコプター空輸隊のもので、ヘリは入間基地から回送している。
ここは昔の陸軍飛行学校のときの滑走路跡で、
サイズは800m×80mとかなり広く、セスナ172やドルニエ226でも離着陸できる。
整備員がピースしているのは、2列縦隊を維持して行進せよ、と言っている。
(ヘリの爆音で声を出しても聞こえないため。)
ちなみにヘリの操縦席より前側は、
メインローターが頭の高さくらいで回転しているため危険とのこと。
CH-47Jは、災害派遣などで民間人が乗ることあり、覚えておいて損はない。
コレクティブピッチレバーをフルダウンにすると高さ130cmになるが、
少し上げておけば写真のように高さ2m程度になり、
首ちょんぱにはならないが、近寄らないにこしたことはない。
機内に乗り込む。
窓についている黄色い紐には触るな、と指示があった。
紐を引っ張ると窓枠が外れて非常口になる。
写真中央上の赤いランプはベルトサイン。
赤なので着席しベルトをせよ、とのこと。
機内は通常の路線バスくらいの広さである。
乗員5名+乗客55人が最大だが、
今回は乗員4名+乗客24人程度だ。
詰め込むと座席に座れない人が出てくるし。
離着陸時には着席せよとの指示が出ているが、
離陸後しばらく経つと、ベルトサインが消え、歩き回ってOK。
離着陸時でも、携帯は機内モードへ、デジカメなども使える。
早速離陸。
セスナ172とは全然違う上昇率であがっていく。
西に向かい、新幹線を横断して南へ方向転換。
右に見えているのは国道140号バイパスだ。
秩父鉄道武川駅。
右は荒川。
荒川を越えて南へ。
雪が残っている。
コックピット。
計器類。
解説付き画像(横2900PIX)はこちら。
エンジンは2基あるので、
エンジン計器類は同じものが2つあるか、
1つの計器内に指針が2つある。
写真の時点ではエンジン出力(回転数×トルク)は41%ほどで、
理論上は片肺での飛行も可能だ。
なかなか振動が激しく、写真が微妙にブレる。
エンジントルク計は123%にも赤メモリがあり、これが短時間緊急出力だ。
高崎線の電車と並走する。
といってもこちらは170km/h(対地速度)くらい出ていてこちらのほうが速い。
新幹線が目立つ。
民間訓練空域KK4が2,000ftまでなので、2,000ftちょいを維持。
熊谷駅。
国道17号バイパス。
バイパス中央部(専用部)に立体交差が整備され、
空からみると非常に目立つ。
奥は利根川だ。
利根川に架かる橋は、国道17号バイパスのもの。
設計速度80km/h、サービス速度(表定速度)60km/hの地域高規格道路だ。
本庄市街。
鉄道線路は高崎線のもの。
上越新幹線が一直線に貫く。
中央部に見える駅は本庄早稲田駅。
その左に目立つ道路は関越道。
鉄道などより高速道路が一番目立つ。
このためヘリなどで有視界飛行の際は高速道路沿いを飛んでいくのが定番。
東日本大震災の際には、被災地へ向かうヘリなどは、
東北道を右側に見て飛べとの指示があったくらいだ。
高速道路は長大トンネルも少なく、ずっと見失わずに飛ぶことが可能。
峠にあるトンネルも通常は一番稜線が低くなっているところを越える。
熊谷基地が見えてきた。
アプローチにかかる。
着陸するとカーゴドアが開く。
降機。
危ないので下がってくださいとのこと。
以上、貴重な体験を再度させていただき、ありがとうございました。
関係者の皆様にお礼申し上げます。