旅行記
2015/09 北アルプス縦走
作戦編
久々に大型連休と、季節、天候、体調の4条件が奇跡的に揃った。
連休さえあればいつでも行ける海外旅行と異なり、
山は更に季節・天候・体調の3条件が必要で、条件が厳しい。
このため、北アルプスの奥部を縦走してきたものである。
目標地は、日本最後の秘境と呼ばれる雲ノ平と高天原温泉だ。
雲ノ平はどの登山口からも片道2日かかり、
高天原温泉は雲ノ平からさらに往復1日必要となり、
登山口までは公共交通機関では1日を要するため、
一般的な登山ツアーでは計6日を要する、日本でも有数の秘境である。
これ以上秘境となると、南海の無人の離島や北方領土くらいしかない。
さて、当初は前夜発で夜行高速バスにてスタートする予定だったが、
諸事情があり出発が遅れたため間に合わずキャンセルし、
1日目に普通に新幹線等の公共交通機関でアクセスすることとした。
このため、日程はまず7日を用意したが、
実際には天気がどうなるかわからず、天気が良ければ引き続き山へ、
悪くなった時点で下山するというプランである。
登山口は公共交通利用では主に3つ考えられる。
新穂高温泉(岐阜県)、高瀬ダム(長野県)、折立(富山県)だ。
折立へのバスは満席で確保できず断念、また新幹線で富山となり高い。
新穂高温泉はバス利用だと歩き始めが14時となり1日目がほぼ潰れる。
このため10時過ぎには歩き始められる高瀬ダムにしたものだ。
帰りは行程が多少長くても問題ないため、新穂高温泉へ下山とした。
行程は下記のとおり。
(予定)
1日目:高瀬ダム→烏帽子小屋
2日目:烏帽子小屋→水晶小屋→水晶岳ピストン→雲ノ平
3日目:雲ノ平→高天原温泉ピストン→鷲羽岳→三俣
4日目:三俣→黒部五郎岳ピストン
5日目:三俣→双六→笠ヶ岳
6日目:笠ヶ岳→新穂高温泉
7日目:予備日
(実施)
1日目:高瀬ダム→烏帽子小屋
2日目:烏帽子小屋→水晶小屋→水晶岳→鷲羽岳→雲ノ平
3日目:雲ノ平→高天原温泉ピストン→三俣→黒部五郎小屋
4日目:黒部五郎小屋→黒部五郎岳ピストン→双六
5日目:双六→笠ヶ岳
6日目:笠ヶ岳→新穂高温泉
7日目:休養日
というように初日を除けばほぼ森林限界以上となり、
幕営地も同様のため、悪天候時には非常につらい。
悪天候の際には小屋泊もやむなしとして心得たが、
実際には好条件に恵まれ、全て幕営が可能であった。
1日目

朝発で最速で高瀬ダムへ向かうためには、
長野から特急バスに乗り、信濃大町駅へ、そこからタクシーだ。
特急バスは長野0750発で、朝一のかがやきに乗る必要がある。
しかしかがやきは高崎通過であり、
高崎から北陸新幹線方面の始発は、0720のため遅すぎる。
あと1時間早い高崎始発あさまがあればいいのにな。
文句を言ってもしょうがないので、運賃・料金を払い(涙目)、
大宮からかがやきに乗る。
大宮駅も凄い人出となっている。

長野駅ではどばっと降りる。
山屋がやたらと多いのは始発列車だからだ。(始発が遅いせいもある。)
山屋はどんなときでも始発に乗るのが基本だからな。


乗車券類。
かがやきは満席のため立席だ。

長野からは特急バスに乗る。
定員制のため満席を心配したが続行便が出て全員乗れた。

信濃大町駅からはタクシーに乗るが、相乗り者を捕まえて、
4人で相乗りして高瀬ダムへ。
このため8400/4でなかなか安くなり助かる。
早朝のムーンライト信州が到着時には余裕で相乗りできるらしいが、
日中は人が少なくて相乗りは難しそうだ。
(というかムーンライト信州のときは相乗りしないとタクシーが足りない)

高瀬ダムから歩き始める。
暑いため長袖1枚だ。ザックは18kg程度と重い。

ブナ立て尾根は標高差1300m弱の登りで、
普段ならたいしたことはないが、
今回の食料5日分を満載して非常に重い装備ではなかなかつらい。
初日のため水3.5Lを持ってきているがどんどん飲み減っていく。

休憩しつつ登る。

登りきると烏帽子小屋。
CT5:20のところを4:15で到着する。
縦走路ということもあり、少しコースタイムがゆるい気がするな。

烏帽子小屋にはテントサイトがあり、
早朝に高瀬ダムをスタートしても
次のテント場の三俣や雲ノ平へはとても到達できないため、
みんなここに幕営することになるようだ。
このため大混雑。
なんとか快適な場所に幕営する。
水は200円/L(雨水)。1.5Lを調理用に給水する。
幕営後は寝る。
基本的にはいつも19時就寝5時起床だ。
もっとも5時起床だと出発は6時となり日が高くなっているから遅いほうだ。
2日目

今日は雲ノ平までの行程のため、
早めに起きて準備等を進め、歩き始める。
早い人は2時半に出発していったようである。

今回の行程は初日を除けばほぼ森林限界以上の行程のため、
なかなか快適なコースだ。
ただし悪天候時には非常につらい。

快適。

野口五郎小屋。
6年前に北アルプス縦走した際に宿泊したのが懐かしい。
ここで水を少し(500ml)補給する。(雨水、有料)

内部は奥秩父的な山小屋の雰囲気だ。

となりにある野口五郎岳。

眺めがよい。

うむ。

水晶小屋を目指す。

水晶小屋。
ここにザックをデポして水晶岳までピストンだ。
往復90分なので念のためレインウェアの上だけ着て空身で行く。

正面が水晶岳だ。

水晶岳。
最奥の100名山である。6年ぶりの登頂だ。

うむ。

あまりに山奥のため下界が見えないのがすごい。
燧ケ岳も殆ど下界が見えないが、こちらも同様だ。

水晶小屋でザックを回収し下る。

水晶岳からは今度は鷲羽岳へ。
こちらも往復2時間強のためレインウェアの上だけ着て空身で。

鷲羽岳もほぼ最奥の100名山である。こちらも6年ぶりだ。

三角点。

こちらも下界は見えない。

はるか谷底は湯俣温泉だ。
7年前に行ったのが懐かしい。

うむ。

ザックを回収し、雲ノ平へ下る。

雲ノ平へ下っていく。

あれがテント場だ。

雲ノ平は木道区間となっている。
朝は霜で凍っており、滑らないように要注意だな。

雲ノ平テント場。

雲ノ平のテント場は大混雑で、
普段のテント場以外の場所にもテント村が出現。
なお、受付は往復50分(空身なら30分以下か)の雲ノ平山荘で、
こちらも遠いのが難点。
水場・トイレはテント場内にありなかなか快適。
水場の水量は多く、頭を洗っている女子などもいた。

食料はこのとおり。(これでも一部)
1日3000kcal×5泊分=15,000kcalである。
実際には1日7000kcalくらい消費するが、
半分以上は脂肪が燃焼するため、このくらいで十分である。
ただし脂肪が理論値でも3kg程度減ってしまう。
体脂肪が少ない人は要注意(体重50kgの場合、体脂肪率が6%下がる)。
実際には、重荷で1日CT10時間程度の行動になるため、
1日3500kcalくらい必要な感触だった。
また、野菜が非常に不足するため野菜カレーを持参するが、
レトルトパック4食で900gあり重い。
野菜1日350gにはまったく不足し、1日100gも摂れない。
塩分は1日6gくらいだが暑い時期はもっと必要である。
食物繊維とビタミンミネラルはフルグラと玄米ブランで補充。
普段肉は食べないので肉がなくても嗜好上問題ないが、
たんぱく質がないと体の動きが悪くなってくる。
普段の食事では豆腐などで対応しているが、山で豆腐は重い。
野菜とたんぱく質の補給方法については研究が必要だ。

暗くなってきたので寝る。
3日目

明るくなってきた。

朝食を食べて準備。

室内サイズは200cm×80cmでも整理すれば快適に使えるもんだ。

まずはテントを撤収して高天原温泉を目指す。
テントを畳むのは、風により万が一飛ばされること防止と、
高地の強力な紫外線による劣化防止である。

しばらく下ると森林限界以下となる。

樹林帯を歩き高天原温泉へ。

高天原も木道となっている。

北アルプス最奥の地だ。

高天原山荘。
最近建て替えて新しくなった。
むかしは屋根が曲がっていたのが有名だったのだが。

そして山荘から下り20分で高天原温泉。
最奥の温泉で、秘湯好きなら知らないものはいない秘湯である。
そしてなかなか強力な硫黄泉だ。
基本混浴だが女湯もあるため山女子でも安心。

雲ノ平へ戻ってきた。

山荘も5年前に建て替えて非常に快適そうだ。

内部は綺麗。
ただし超混雑で戦場のようだとのこと。

雲ノ平テント場へ戻る。
コースタイムは7時間だが、空身のため実際には5時間強だ。

鷲羽岳は昨日行ったため、今回は黒部川源流を通り三俣へ。

三俣山荘は超大混雑。
布団2枚に5人とのことだ。
登山ルートが交差する中継地点であり、
シルクロードのオアシスのような状態になっている。

展望レストランもオシャレで快適そう。ただし人が多い。

当然、テント場も大混雑。
明日の行程を多少楽にするために、
このまま黒部五郎小屋まで行くことにする。

黒部五郎小屋。
水は無料で汲める。
ちなみにどの小屋でも缶ビールは完売しており、
酒不足で困っていた人が非常に多いとか。
酒はウィスキーなど度数が高いものを少量持って行くのがオススメだな。

幕営する。

大混雑。
もう平らな場所がない。

夕食にして早めに寝る。
就寝直前の19時くらいに到着したパーティが
なぜか隣に幕営して酒盛りが非常にうるさい。
日没後は酒盛りはほどほどにしてもらいたいもんだ。
夜起きると、テント場内の通路に人糞がある。ひどいもんだ。
4日目

翌朝。
テントのフライには氷がびっしりついており、
放射冷却で気温は氷点下になったようだ。
しかし、モンベル#2(快適2℃まで)で快適に熟睡。
マットを2枚(エアマット+銀マット9mm)使っているためだ。

今日はまずは黒部五郎岳にピストンだ。
4時間掛かるため、さすがに空身というわけにはいかず、
ザックに必要物資を積載して往復する。

黒部五郎岳頂上。

三角点。

富山の市街地も見えるなかなかの展望だ。
富山空港も見えそうだ。

うむ。

小屋に戻る。
気温は9℃とだいぶあがってきた。
途中の沢で水を浴びて汗を流して快適。

いったん黒部五郎小屋で荷物を回収したあと、
三俣蓮華岳を経由して双六小屋に向かう。
三俣蓮華岳は2841mと十分な標高で、
富山・岐阜・長野の3県境で、登山ルートが交差するため、
地理的には非常に重要な山である。
こちらも100名山に指定されてもいいくらいだ。
もちろん3県境マニアにはかなりオススメだ。

なかなかの展望。

双六小屋。
大規模で快適。
もちろん、缶ビールは売り切れとのことだ。
水は無料で沢水を汲める。
水が使い放題の小屋は快適だな。

双六小屋で幕営する。

混雑しているが広いため十分だな。

暗くなってきたので寝る。
19時半まで騒いでいたパーティが注意されていて、
その後は静かになったので寝る。
5日目

今日は双六小屋から笠ヶ岳山荘に移動するだけなので楽勝だ。
その気になればそのまま下山も可能だが、
まだ天気はギリギリ持つようなので笠ヶ岳山荘テント場に幕営する。

快適。

笠ヶ岳山荘方面へ。

休憩しつつ進む。

このあたりまで来ると人が少なくなってきた。

笠ヶ岳山荘に到着。
平日とあって小屋は空いていて快適そうだ。

気温は13℃と暖かい。

内部も快適そう。

頂上に往復してくる。

頂上。

頂上はガスが増えてきた。

山荘が見える。
なお小屋の裏の急斜面(2700m地点あたり)にはテントが飛ばされていた。
万が一、遭難者の可能性も考慮し、念のため小屋に通報しておく。

頂上の祠だ。

持参食料が少なくなってきたため、
明日の朝食は小屋で食べることとする(1000円)。
燃料も250gのガス缶を持参したが、5泊でほぼ使い切った。
これは、日中の飲料水(1L/日)を、
小屋の水場の水を煮沸してペットボトルに詰めているためだ。
このほか調理などに使うと、5泊で使い切ってしまう。
寒い時期は暖房などにも必要で、もう少し余裕が必要だな。

幕営して就寝。
風は7m/sくらいあったがうまく風を避ける場所に設営し、
風の影響はなかった。
6日目

朝5時に起きると朝焼けだったが雲が多い。
昼には雨になる予報のため早めに下山準備。

気温は7℃と暖かい。
ぬくぬく熟睡だ。

小屋は出発準備を整える人でざわついているが、朝飯だ。
1000円でこれだけ食えれば十分だな。
いい歳してご飯も4杯食べたので下山まで十分持ちそうだ。
なお、血糖値が急上昇するため下界では厳禁である。

下山前に頂上に往復していく。

山頂も静かだ。

新穂高温泉ははるか下の下界だが、あそこまで下る必要がある。
恐ろしいほどの標高差だな。

15倍双眼鏡では穂高岳山荘が見える。
人がいて準備をしている様子が伺える。
しかしものすごい場所に建っているな。

下山に掛かる。
途中には雷鳥を4羽ほど確認。

急勾配の笠新道をどんどん下っていく。
これは登りはきついわけだ。

新穂高温泉に下山。
ここからはバスで平湯バスターミナルまで出る。
雨が降ってきたため危ないタイミングだった。

平湯からは松本行きのバスに乗り換える。
接続の30分の間に蕎麦を食べたり時間をつぶす。


乗車券類。

松本からは特急しなのに乗り、長野へ。

長野からは新幹線で一気に高崎まで戻る。
松本から東京都区内にあずさ回数券利用だと5000円を切るが、
距離はもっと短いのに、それよりもかなり高いのが難点。
とはいえ混雑に巻き込まれないのは助かるところだ。
なお、上田〜高崎ならば100kmを切るため新幹線特急料金が安くなるほか、
長野〜篠ノ井の往復乗車がなくなるため運賃も安くなる。今度研究してみよう。

新幹線での山行は速くて快適だな。

高崎に到着。
以上、無事に帰還。
総費用50k(うち減価償却費11k、食費11k等)。