旅行記



2012/11 航空自衛隊 輸送ヘリ(CH-47J)搭乗


TCAチャート東京成田を見ればわかるように、埼玉県の上空は、
民間訓練空域KK、入間基地の進入ルート、都市部のヘリポート、
多数のグライダー滑空場等、低い高度についてはそこそこ混雑している。
高い高度については、羽田成田の旅客機が通過しているが、
すでに十分高い高度になっていることから、あまり混雑していない。
そんなわけで、桶川からセスナを運用していると、結構気を使うのだ。
(最近はすっかりペーパー仮免だが・・・)
で、自衛隊のヘリだったり飛行機だったりと、
色々と相手を視認することは多いが実際乗ったことがないと、
どんな風に考えてどんな風に機動するのかが実感できないんだな。
まあセスナのライセンサー(操縦資格保持者)なら、
民間のヘリには乗ったことは多いだろうが、
さすがに軍用機ともなると乗る機会はまずない。
僕も民間ヘリ(大きくて9人乗りまで)は乗ったことがあるが、同様だ。

搭乗機は入間基地所属のCH-47Jだ。
計90人ほどが、3回に分けて、1回の搭乗で25分ほどのフライトである。
90人のうち、一般人抽選枠は45人で主に親子であった。
将来の自衛官育成という意味では、子供を乗せるのがやはり正解だ。



自衛隊の基地内で時間をつぶす。


入間ヘリコプター空輸隊の人が飛行前の解説をする。
今回は、熊谷基地→熊谷市街→行田市→羽生市の往復だ。
途中に民間訓練空域KK(2000/SFC)を避けるために高度2000ftを維持。



登場するまえには識別票をつける。
墜落で死亡したときに死体が誰だか判別するものである。



入間からヘリが到着。
入間から熊谷は距離40km弱、所要15分だとか。

入間基地航空祭のときには、入間周辺が超混雑するので、
有料で良いので入間⇔桶川のピストン輸送とかやってくれたら面白そう。
費用は150万円/時を考慮すると、目いっぱい詰め込んで1人1万円位か。



滑走路は陸上トラックになっておりヘリ用としては十分。
照明設備もあり、夜間の発着も可能だ。
大きさは障害物がないクリアな地面としては、300m×80mくらいで、
がんばればモーターグライダーも離着陸できそう。
サッカーゴールを撤去すれば800m×80mになり調布飛行場並になる。

成田空港のA滑走路が今年12月13日から4000m運用が開始されるが、
規定上は従来の3250mでもOKとはいえ、
安全面からは滑走路が長いにこしたことはない。もちろんヘリでも同様だ。


エンジンを回したまま、搭乗だ。
乗り込むときのダウンウォッシュは、
以前に乗った民間ヘリなどよりもかなり弱い感じがした。
まあローター面がかなり高い場所にあるからな。
小さいヘリだと、頭をかかげないと首ちょんぱになりそうで怖いが、
こちらはそういった不安はまったくない。


さて搭乗だ。



内部は軍用機らしく無骨なつくり。
黄色いのは着水に備えた救命筏だ。
正面座席に置いてあるカメラは自衛隊広報部のものである。



めっちゃうるさいのでヘッドセットが必要だ。
さすがに4000馬力×2のエンジンは爆音である。
飛行隊以外の隊員が乗るときにはヘッドセットを貸してもらえないとかで、
耳栓が必須だといっていた。忘れると悲惨なことになるとか。



離陸。
なお電子機器の使用については許可済みである。
上昇率は1800ft/minくらいを維持して、1分くらいで巡航高度の2000ftに到達。
輸送ヘリで空荷だとすごい余剰出力だ。


寒冷前線接近の影響で視界がよくない。
視界がよければ、長瀞の谷間をエースコンバット並みに飛行する予定だったらしい。
もちろん法令上の安全高度を確保した上での話である。



コックピットを覗く。


計器部分拡大。撮影時点では、高度1900ft、速度100ktだ。
エンジン回転数は90%だが、トルクは45%で、せいぜい40%ほどの出力のため、
理論上は片肺飛行(倍の80%出力になるが)も可能。
というのも、CH-47Jとしては30人乗せてて僅か計2トン、ほぼ空荷だからな。

100ktというとセスナの巡航速度(たいてい90〜95kt)より速い。いいなあ。



どんどん東へ。


新幹線とすれ違う。
新幹線は相変わらず超速い。
でもCH-47Jなら240kmhは十分出せる。
軍用機で新幹線を追跡!とかやったらJRから超怒られそうだな。
(マスコミのヘリは新幹線関連のニュースがあるときにはよくやってるが)



羽生市にある超巨大イオンだ。
なぜか誰も見れないはずの屋上にAEONと書いてある。
最近のイオンはヘリでくるやつもいるの?というわけではないが、
大型施設には施設名を書いておいてもらえると上空からの位置確認が便利だ。
(実際、県立高校などには高校名が書いてあって便利。)



反転。
民間人が乗っているということもあり15度くらいのゆるいバンクで旋回。


熊谷へ。
ちなみにこのすぐ上ではエンジンが回っておりかなりうるさい。
ローターディスクの回転面に相当する位置には重要な装備を置かず、
万が一飛散しても機体に重大なダメージを与えないようになっているとか。
民間機だと平気でジェットエンジンのファンの横とか、
プロペラの横に着席させるのになあ・・・。



熊谷駅の直上をパス。


次第に高度を下げる。


太平洋セメント工場の横を、煙突よりも低い高度を通過する。
がんばるな。
煙突は80mだそうなので良い目印になっているとか。


帰着。
すぐに次の体験搭乗チームを乗せるために交代。


再び離陸していった。

というわけで、普段は乗ることができない軍用機に乗れ、貴重な経験になりました。
関係者の皆様、大変ありがとうございました。
今後とも、おたがいに安全運行につきましても、よろしくお願いします。



参考 途中の飛行経路

紫色が飛行経路。


飛行緒元
反転するときには高度速度ともにやや下がっているが、
おおむね高度500m、速度180kmhを維持だ。