旅行記
2011/09 松本空港
松本空港には新中央航空という会社がある。
新中央航空といえば、伊豆諸島への航空便を運行しているローカル航空会社なのだが、
松本空港をベースに小型機の飛行訓練なども行っている。
操縦練習許可があるので、
操縦訓練扱いで僕が操縦し、セスナのチャーターをお願いすることもできるのだが、
今回は景色を見たいということで、教官操縦でチャーターをお願いした。
とりあえず様子見で30分チャーターしたが、松本空港の周辺は見所が多いので、
30分(往復90km)もあれば十分色々みて回ることができる。
とりあえず30分前には到着し、区分航空図を広げて打合せする。
(松本だと遠いのでTCAチャート東京/成田の範囲外なのだ)
松本空港が盆地の底にあるという地理条件から、取れるコースには制限があるものの、
1・中央道と並行に飛んでTUEEEしたい!
2・塩尻峠をローパスしたい(YOUTUBEの動画みたいに)
3・諏訪湖の様子を見たい
4・車山の直上を通過したい
5・グライダー滑空場の様子を見たい
6・美ヶ原を遠くから見たい
などの条件を満たすコースを選定した。
1の中央道と並行に飛ぶのは、諏訪湖まで行くまではどのみち中央道上を通るのでOK。
2の塩尻峠ローパスは、松本空港が盆地にあるので、高度を稼ぐのに時間がかかり、
自動的に割とローパスになるが、送電線があるので、ヒットしない安全高度は確保。
3の諏訪湖は、あまり低空まで降ろしてしまうと、次の車山までに高度を稼げないので、
そこそこの高度で通過することになる。
4の車山は、標高が6300ftはあるので、7500ftくらいまで上げる必要があるが、
松本空港からフルパワーで上昇をし続けてやっと、という感じ。でもOKのようだ。
5の滑空場は、平日というこもあって今日はオープンしてないようだ。
6の美ヶ原については、美ヶ原が7000ft近くあるので、上空を通過するのは、
性能上は不可能ではないが、それをやると降下にも時間がかかり、
30分のチャーター時間に収まらないので、近傍をパスするだけにした。
朝一に行くために今回も新幹線である。秋晴れのなかを快走だ。
9月だけで3回(6往復)も長野新幹線に乗っている。乗りすぎだろ。
ちなみに帰りを「あずさ」にすると、
ぐるっと1周するような乗車券になってやや安くなる(距離逓減のため)。
松本へ到着。
今回はテント泊での山行と違って荷物が軽いので気軽だな。
松本空港へは、毎時1本弱出ているバスで行く。所要約40分。
松本空港へ到着。航空便は1日2〜3便しかないのがさびしい。
なお新中央航空の建物はターミナルビルとは少し離れている。
行き先はどうしようか迷ったが、天気は良いようなので、
相談して松本→諏訪湖→車山→白樺湖→美ヶ原→諏訪湖→松本とした。
近くにある蓼科山は本当に見えるのか?
というとこれは現地へ確認すればいいだけである。
山頂の山小屋に電話して、
「もしもし?こちら軽飛行機を運行している者ですが、そちらガスってますか??」
「わかりました、今から行きますので宜しくお願いします」
みたいなやり取りをすればOKである。
早速このセスナ172に乗り込んでスタートだ。
松本空港は標高が高いので、既にもう2000ft超えである。
松本空港は2000m×40mとセスナ172にとっては非常に広い。
まずは中央道沿いを飛び、どんどん車を追い抜きつつ南下する。
塩尻峠をパスする。
意外と標高が高く、しかも峠上に送電線があるので、
かなり高度に余裕を持ってパスしないと大変なことになる。
中央道の岡谷JCTだ。
かなり橋が高く、JR岡谷駅から見上げるとまさに天を跨ぐかの如く架かっているが、
これは上空から見てもなかなか巨大。
どんどん高度を稼ぐ。
諏訪湖上空を通過する。
高度を下げることも可能ではあるが、
あまり下げると次の車山までに十分な高度を確保できない。
遊覧船が運航されているのがわかる。
冬で湖面凍結したときならさぞ美しいことであろう。
次は車山だ。
霧ヶ峰グライダー滑空場(キリガミネ フライト
サービス 130.625Mhz)に
交信を試みたところ、オープンしていないそうなので、
滑空場の近傍を通過することにする。
(オープン中は5マイルは間隔をとるか、10,000ft以上を通過するのがよい)
ちなみに標高1680mの高地にあるため飛行機の離着陸はきつい。
高度7500ft、速度90kt。
上昇が完了したため速度は90ktにスピードアップ。
このくらいなら何とかフルパワーではなくても速度を維持できる。
車山の直上を通過する。
標高こそ6300ftだが、気象レーダーがあるため、障害物的には6400ftくらい。
7500ft前後、速度90ktを維持。
白樺湖上空で旋回する。
これ以上向こうは自衛隊の訓練空域となっているため、許可が必要である。
(たいていの場合はOKである)
正面には浅間山。
蓼科山や八ヶ岳が綺麗だ。
特に実際に自分の足で登ったことのある山は尚更である。
今の高度は7500ft(2,300m)なので、あちらのほうが高い。
次は美ヶ原方面へ。
正面にはるか巨大な台地が見えるがこれが美ヶ原である。
美ヶ原。
標高では6700ftだが、電波塔が林立しており、
最高で7000ft近くあるため、フライパスするのはしんどい。
その場合、少なくとも8000ftはとらなくてはならず、
可能ではあるものの、松本空港への降下に時間が掛かる。
ビーナスライン。
すごい斜面を走っているな。
冬は道路がスノーモービルコースになるが面白そうだ。
もう一度諏訪湖方面へ戻る。
綺麗だな。
国道20号バイパス上空を通過する。かなり山岳路線なのがわかる。
大昔に乗鞍岳まで埼玉から全て一般道を使って行ったときに、
深夜に通った思い出が。
塩尻峠をローパス。といっても1000ftAGLくらいあるので十分安全だが、
それでも送電線に近い感じがして、視界が悪いときは怖いだろうな。
松本空港へ向かって降下する。
PAPIは3度に設定してあるため、やや低い感じがする。
比率で言うと20:1の降下角なので、
デフォでは9:1の降下角(フラップ30ダウン+60ktで5:1)のセスナ172だと、
かなりパワーを入れつつ降下していくことになる。
ちなみに桶川は3.5度であるが、ジェット対応空港は3度が標準だ。
松本空港は管制圏の上限が5000ftMSLと軍用空港並みに高いが、
単に空港の標高が2100ftもあるからである。
高速道路と交差し、ダイレクトベースでの進入だ。
以降、無事に着陸だ。
長野県警のヘリ。
山でよく見るJA110Eだ。松本空港に常駐しているんだな。
これなら県内のどこへでも30分で駆けつけられるな。
地方空港らしく閑散としているな。
でもこういう小型機向けにも使わせてくれるんだからありがたい。
フジドリームエアラインズがいる。
1日2便なので貴重なシーンである。
新千歳と福岡に1便ずつである。
昔は静岡空港行きなどもあって、南アルプス遊覧飛行みたいな感じの路線だったが、
あまりにも搭乗率が悪くて廃止になった。残念。
松本新宿は2時間半〜3時間を要するので、実は東京大阪よりもかかるため、
羽田便などを出したらそれはそれで面白そうな気がするが、どうだろう?
あとは新中央航空らしく、調布まで19人乗りドルニエとか?
この場合、伊豆諸島便を考えると運賃は1.5万円程度になると思われ、
あずさの6000円に比べて格段に高いのでダメだろう。
北アルプスの山はちょっと霞んでいる。
帰りはスーパーあずさで帰る。
新宿までは2時間半くらいかかるが、平日ということもあり空いていて快適。
嫁と2席分占用(写真)して快適である。
八ヶ岳も綺麗だ。
でも、雪があるほうがかっこいいかな。
その後は新宿まで乗り、新宿でICIスポーツによりフリーズドライ食料を買い込み、
以上、無事に帰還。
さて、教官に相談したところ、槍ヶ岳や穂高岳のエリアへ行くことも可能であるようだ。
もちろん雲がないことが条件である。
距離は短いもののフルパワーでの上昇では水平速度は70kt程度に制限されるため、
時間はかなり掛かるのが難点である。
高度は性能上の制限により、9500ft(2900m)を維持するそうだが、
これだと槍ヶ岳の支尾根を飛び越えるのは本当にギリギリになる。
(頂上をフライパスはできない)
松本からマックスパワーで上昇を続ければ、穂高岳までに9500ftが稼げるようだ。
ただ、松本空港から直線で行こうとすると手前の常念山脈が支障になるため、
国道沿いに飛び、安房峠の手前で上高地方面へ行くという、
地上の交通機関と同じような行き方をする必要があるとか。
ま、パワーのある機体なら話は別で、
仮に直線で飛んでもB737-800なら穂高岳までに4000m以上稼げるが、
旅客機が穂高岳直上を4000m(=高度差800m)で通過するのは大騒ぎになりそう。
しかし9500ftがMAXということは、穂高岳山荘をフライパスするのは無理か。残念。
あとは仕様上、10000ft以上を飛ぶときには酸素マスクの準備が必要である。
高度3000mくらいで酸素マスクなんて大げさな、という感じだが、
一気に上昇したりすると、弱い人だと酸素減少に伴う判断力の低下となることもある。
まあ、山ヤなら3776mまでは余裕のハズなので、大丈夫だろう、多分。
参考 今回の飛行ルート概略