旅行記


2011/07 奥穂高岳


奥穂高岳は北アルプスにある日本第3位の標高の山(3,190m)である。
頂上に達するにはいくつかルートがあり、
もっとも手ごろなルートであれば健脚なら十分日帰り可能だが、
3連休ということで友人と都合があったため、テント泊でゆっくりと行くことにした。



新幹線で長野まで行き、そこから松本を目指す。
夏空が気持ちよい。



長野から松本までは普通列車で行く。
実は特急で行っても良いのだが、
1本あとの普通で行っても松本へは新宿からの始発あずさよりも速い。
普通列車だと、有名な姨捨駅のスイッチバックに停車する。



松本駅に到着し、時間節約のためタクシーで一気に上高地を目指す。
この1時間の時間節約で、涸沢までいけるかどうかが決まる。



上高地で準備して出発。



あの頂上を目指すのだ。



横尾までの11km平地歩きが超しんどい。



暑い暑い。


雪渓の上はやや涼しい。


超苦労して涸沢に到着。
重いテントを背負ってはかなり疲れた。



涸沢は穂高岳の北側斜面にある標高2300mのカール内にある。
2軒の小屋と国営キャンプ場があり、このキャンプ場は500張と日本最大。
山に囲まれているため眺めは良くないが、
それでもこの山奥の雰囲気のためにここを目指してくる人もいるほど。
ヘリポート・山岳警備隊常駐基地などもある。



2〜3人用テント×2=5人分の収容力があるが、
今回は3人なので余裕の構成で、まさに1国1城の主状態。
1〜2人用テントと2〜3人用テントの重量差はたいてい0.2kg程度なので、
居住の快適さを考えると大きいテントも十分にメリットがある。




翌朝。
雪渓上にテントを張ったので#3の寝袋だと結構寒かった。
ちなみにレンタルのコンパネが売り切れていたため、
銀マットを借りたが、これだけでは断熱は不十分だ。



朝一のザイテングラートを登って穂高岳を目指す。



お花畑がきれい。


どんどん登る。


苦労してなんとか到着。
超すごいところに建っている穂高岳山荘。
まさに「天界」。
しかし当然だが水はないため、1L150円の雪渓水になる。

テントを設営しようと思ったが、
警察ヘリの荷揚げがあるようで、しばらく待機させられる。



警察ヘリが飛来。岐阜県警航空隊のらいちょう2、ベル412EP。
900馬力×2=1800馬力の超ハイパワーで迫力満点。
地面効果内ホバリング限界高度を超えているため、
かなり積載容量を減らしているはず。
それでもかなり重そうで、新穂高上空でぐるぐる旋回しつつ高度を上げ、
こちらへ接近してくるが、前進速度はほとんど出ていない。
これじゃあEGTが最大値にいっちゃうぞ。



1800馬力なのでものすごいダウンウォッシュだ。
超かっこいい。



穂高岳山荘ヘリポートへ着陸。
高度10,000ftへの着陸は相当難しそうだ。
実際難しいらしく、山岳飛行に手馴れの東邦航空でさえも
このヘリポートで一回墜落事故を起こしている。
で、荷揚げの荷物はわずか50kg程度。
おいおい、100万円の費用を掛けてこれだけかよ〜。
まあ練習飛行もかねているようなのでこんなものか。



去っていった。


さてテントを設営してその後、穂高岳山頂を目指す。



飛行機雲が。
高空を高速で飛ぶB747が超かっこいい。



山頂での記念撮影。



山頂で結婚式を挙げる2人組。
これはさすがにびっくりした。すごいな。
これ以上高いところでは富士山の山頂で挙げる結婚式が考えられ、
実際何組かが行っているようであるが、
奥穂高岳山頂のほうが難易度は高そうだ。
素人でも来れる富士山頂とは異なり、奥穂高岳は山ヤでないと不可だ。
それ以上高いところなら飛行機上で挙げる方法もあるが・・・。



かなり眺めが良い。
北アルプスの頂上に立っているわけで眺めはもちろん抜群だ。



上高地をみおろす。


山荘に戻る。



高度3000mで約1坪の快適な我が家である。



2人用テントで2人だとやや狭いかなといった感じだが、
3人用テントで1人だと超広々である(もちろんその分重いが)。



山荘は大混雑。
今日は1畳2人程度の混雑のようだ。
まあ我々はテントなので混雑とは無縁である。
ちなみに+1000円ですこし余裕のある詰め込み具合の部屋にもできる。
これなら1畳1人が確保されるので、まあ悪くない程度には快適だ。



日が暮れたので寝ることにする。



深夜に起きると満月に照らされて薄明るい。
静まり返るテント場。



翌朝。
かなり寒い。うだるような暑さの下界とは大違いだ。
おおむね#3(0℃まで)の寝袋でやや寒い程度、
ちゃんと防寒着を着て寝れば問題なさそうな雰囲気。
最低気温10℃くらいまでであろう。
しかし7月の3000mで#3でジャストだと、
ほとんどの条件で#0を持ち出すことになってしまう。



さて撤収し、戻ることにする。



ザイラングラートを慎重に下る。
途中、セスナ172が奥穂高岳山頂をフライパス。
シミュレータで試してみると、燃料90%・3人搭乗の条件では、
松本空港から離陸してマックスパワーを維持しても穂高岳で高度3000mまで稼げない。
というか、この時間では松本空港はクローズ中のはず。どっから来たんだ?



涸沢で休憩、その後どんどん下る。


やっと上高地まで戻ってきた。
まいどのことながら上高地⇔横尾の往復22kmはしんどかった。

上高地からは行きと同様にタクシーで一気に松本駅まで戻る。
崩落した上高地線の部分。現在も復旧作業中だ。

途中で上高地帝国ホテルに向かうハイヤーとすれ違う。
品川ナンバーだったので東京から来たようだ。
東京→上高地はハイヤーで12万円する。
帝国ホテルでも安い部屋に泊まるとは考えられず、
1部屋10万のスイートとすると、2人で往復で少なくとも34万円を要すると思われる。

ところで、上高地⇔穂高岳山荘をヘリで行くと、
(帰りと行きの2往復で)25分を要し25万円掛かるが、
松本⇔上高地をタクシーにして3万円、
東京⇔松本を特急のグリーン車で5万円、
穂高岳山荘の個室で3万円とすれば、
ほぼ同じ36万円で穂高岳山荘で豪華な山岳リゾートが楽しめるはず。



松本からは特急しなの→新幹線と乗り継いで帰る。

以上、無事に帰還。総費用30k(減価償却費含む)


おまけ
GPSデータによる分析
長野新幹線は高崎〜長野の全区間にわたり、
急勾配や急曲線が連続し、また停車駅も多いため、
かなり速度が遅いが、具体的にどこがどう遅いのか。
GPSで分析を行ったが、トンネル区間が多く、あまり綺麗なデータは得られなかった。



長野新幹線 下り
やはり軽井沢をサミットとする線形になっており、どちら側もすごい急勾配である。
軽井沢では標高1000m弱に達するレベルで、
このくらい高地だと空気抵抗減による走行抵抗減少が無視できないとか。
自動車と違って高地でのパワーダウンがないし。

高崎駅を発車するとすぐに全速まで加速するわけではない。
というのも、高崎駅から4kmほど北方に上越新幹線との分岐があり、
これには高速分岐器が採用されているがそれでも160km/h制限となる。
北陸新幹線が金沢開業したら、こちらを本線にしたほうがいいのでは?
その後、徐々に加速していくが、すぐに登り30‰の勾配となる。
しかし、登り30‰になるまえに255km/hまでの加速を完了する。
登り30‰の勾配では均衡速度が170km/h程度のため、
徐々に減速することになるが、減速しきる前に軽井沢駅に到着。
ただし安中榛名停車の場合は、停車後の再加速は非常に遅くなる。
通過の場合は230km/h程度で徐々に減速しつつ通過。
軽井沢駅付近では碓氷峠側に急曲線があるため、
仮に通過列車でも110km/h程度の制限となりそう。
軽井沢駅からは佐久平駅に向かってやはり30‰の下り勾配で、
下りならいくらでも速度を出せるというわけではなく、210km/h制限。
これはディスクブレーキで非常制動を掛けた際に耐えられるのが、
この速度までということによる制限である。
200km/h程度を維持して佐久平駅へ。
佐久平駅の通過列車は特に制限がないため、フルスピードで通過できそう。
佐久平駅を発車すると上田駅へ向かうが、ここでは特に制限区間がなく、
一時的に255km/hまで出すが、すぐに上田駅となり減速することになる。
上田駅を発車後は特に制限区間はなく、一時的に255km/hまで出す。
上田駅は半径2600mのカーブ上にあり、
仮に通過列車であっても240km/h程度の制限となるが、通過列車は少ない。
篠ノ井駅あたりからは明かり区間となって、地上を爆走し、
長野駅に近づくと減速、そのまま長野駅へ。




特急しなの(松本→長野)
GPSをONにするのが忘れていたため、聖高原あたりからのデータだ。
全体的にやはり遅く、最高速度はおそらく95km/hだ。
先頭車両から見た感じでは振り子機能はONになっているので、
その気になれば結構速く走れそうな気がするのだが。
おかげで、松本長野間は高速バスのシェアが高いようだ。
まあ僕のように新幹線乗り継ぎの客は、
「しなの」の特急料金が半額(570円)になるのでいいが・・・。
姥捨駅あたりをサミットとする勾配になっており、勾配もなかなか急だ。
単線なので運転停車があるのも痛い。


長野新幹線 上り
長野駅を発車するとしばらくして255km/hに加速、篠ノ井駅を通過し、
トンネルに突入、以降255km/hを維持、上田駅が近づくと減速し停車。
上田駅を発車後は同じように255km/hまで加速するが、すぐに佐久平駅に到着。
佐久平駅を発車後は、登り30‰があるため200km/h程度を維持、軽井沢駅へ。
軽井沢駅を発車すると200km/hまで加速し、200km/hを維持して30‰勾配を下る。
30‰勾配を抜けると制限が解除されるが、
すぐに上越新幹線との合流するため、160km/hまで減速、合流後は高崎駅へ。
なお高崎駅通過列車でも側線を通るため70km/hの通過になるようだ。