旅行記



2010/12 富士山(敗退)

富士山は日本最高峰であるが、太平洋側に位置するため、
気候としては北アルプスや北海道の山よりも登りやすい。
しかし、冬は猛烈な強風・低温のため、登る人は非常に限られる。
12月となってだんだん雪が増えてくる時期であるが、
まだ積雪は少なく、氷化も進んでいないため、ある程度は登れるはず。
というわけで行ってみた。

とはいえ、非常に条件は厳しく、今年は1月に1人のペースで死者が出ている。
11月には滑落で1名死亡、12月にも滑落で1名死亡だ。


深夜の駅。




翌日朝、馬返し(1440m)からスタート。
昔の富士登山では、ここまでは馬が入れたため、馬返しの地名になったが、
今でも車はここまでのため、たしかに「馬返し」とも言えるはず。
かつては富士山の一番のメインルートとして賑わったが、
スバルラインの開通ですっかり廃れてしまったらしい。
とはいえ、冬はスバルラインが使えないので、ここがメインルートである。
各種道路が閉鎖される冬では、ここの1440mが最も登り始めの標高が高い。




出発。



1合目(1500m)。
出発するとすぐに1合目になる。
神社があるが、なんだかくたびれている。




2合目(1700m)。
ここにも神社があるが、崩壊している。
この神社が富士吉田市所有のため、この神社近辺だけが富士吉田市の飛地になっている。




3合目(1840m)。
ここにはむかし3軒の茶屋があったため三軒茶屋と呼ばれている。
いまでは廃墟が残るのみ。
なんか全般的にこの登山道は廃墟が多いな。




4合目(2030m)。
「5合目井上小屋」とあるが4合目である。
スバルラインが開通し、ここの終点を5合目としたため、
古い吉田口登山道ではやや5合目のバランスがおかしくなっている。




冬の様相。



ここで林道に出る。
車両が通れるような雰囲気ではなく一面に20cmの積雪で、ラッセルが超大変だ。
でもスノーモービルがあればここまで来れそう?

ここでラッセルしてくれた(?)先行者に追い付いてしまい、追い抜く。
(こちらがラッセルをしてもこちらの方が速い)




あちらには雪に閉ざされたスバルライン5合目が見える。
夏はあそこに戻ればゴールなんだが、
今はこの5合目が非常に高いところにあるように見える。




5合目佐藤小屋(2240m)。
ここは冬でも営業しており、冬山登山者のベースキャンプとなっている。




6合目(2430m)。




夏は賑わうところだが、無人となっており、猛烈な地吹雪が吹いている。
あまりのギャップにびっくりする。




眺めが良い。



河口湖。



強風で指が凍りそうになる。



7合目(2700m)。



猛烈な強風により雪煙が舞っている。
ここから先は夏道どおりに登るルートと、吉田大沢の縁を登るルートがある。
縁を登るルートは、雪崩のデブリが出ており危険な雰囲気。
また風が非常に強く無理であったため、夏道どおりに登っていくことにする。
まだ氷化は進んでおらず、滑落の危険は少ないが、これから気温が下がってくれば危険。




東京都心方面が見える。
何回も富士山に登っているが、東京が見えたのは初めて。
さすがに冬は眺めがよいな。



スカイツリーも見える。
まあスカイツリーから富士山が見えるんだから当然ではあるが、
空気が澄んだ冬のみのはず。
どこからスカイツリーが見えるか?という企画もあるが、
この富士山から見えたのは最高記録では?
なお理論値では地平線の丸みのために87kmが限界となるが、
今回のように高いところから見れば、当然100km以上でも見れる。
理論的には、那須岳から見えるはずで、距離は160kmになるが、さすがに厳しいか。
距離160kmだと地球の丸みによる地平線の落ち込みが2000m程度になるはずだし。





三浦半島。








雪がべっとりとついているような感じだが、全て氷なんだな。



吹き溜まっており苦労する。



2800m、鎌岩館まできた。
風が強い。もーだめだ!



上を見上げると雪煙が舞い猛烈な風だ。
鳥居が見えるのは鳥居荘、2900m。
風によりこれ以上前進することができず、撤退する。
もう少しで8合目なのだが残念だ。


とはいえ、撤退したということは全力まで頑張ったということであり、
かなり満足である。




無事に戻る。




帰りは富士浅間神社に寄っていく。




今回の富士登山、また2010年を無事に過ごしたことに感謝する。


以降、無事に帰還。
12月とはいえ、7合目より上(7.3合目)まで達することができ、非常に満足。
御殿場ルートであれば、登り始めは1300mと更に低くなるものの、
風下側から登っていくことになるため、もう少し高いところまで行けるかもしれない。
しかしスラッシュ雪崩には要注意だ。
通常雪崩と異なり、これに巻き込まれたら100%助からない。
また、登り始め1300mからはきつく、3000mまで行くとしても標高差1700mとなってしまう。