旅行記



2010/10 穂高岳山荘


穂高岳山荘は、北アルプス最高峰であり日本3位の標高の穂高岳(3,190m)、
その直下2980mに位置する山小屋である。
収容人数300人と比較的大規模な小屋であり、
高標高にあるため抜群の展望と、かなり評判の良い場所である。


作戦編
穂高岳は標高3,190mであるが、登り始めは上高地1,505mである。
標高差は1,700mであり、かなりハードな行程となってしまう。
今回は1泊2日であるため、日程の制限も厳しい。

さて、ルートは4つあり、おおむね次のとおり。
■横尾経由ザイテングラート
上高地から横尾までほぼ水平に11km歩き、そこから涸沢経由で登るルート。
通称「ザイテン」、コースタイムは約9時間。
穂高岳直下を除き、特に危険箇所はないため、9割の人がこのルートをとる。
しかし、行程が長いため上高地を早朝出発しなければ穂高岳まで至れず、
多くの人は穂高岳登頂に2日を要し、おおむね2泊3日の行程となるようだ。
上高地を早出すればいいのだが、タクシーが動き出すのが朝5時なので、
早出もできないという難点がある。
体力があればコースタイム9時間を短縮は不可能ではないが、
横尾までの水平11km歩きが長いため、あまり短縮は期待できない。
■重太郎新道
上高地から直登するルートである。
横尾までの水平11km歩きがないためコースタイムはやや短いものの、
重太郎新道は危険箇所も多く、あまり初心者の単独にはオススメできないが、
途中の2170m地点に岳沢小屋が再建され、中継ポイントができたため、
なかなかオススメできるルートになった。
直登ルートなので体力次第ではいくらでも短縮可能で、
ネットだと上高地から3時間で穂高岳山頂まで到達している報告もある。
これだと上昇率560m/時なので、不可能ではなさそうな感じだが、
普通は300m/時でおおむね6時間が妥当なところだろう。
■新穂高温泉から白出沢ルート
飛騨側の新穂高温泉から登ってくるルート。
白出沢は標高差1500mの直登で、非常にきつく、あまり通行者は多くないようだ。
新穂高温泉までマイカーで入れるので、早朝出発で日帰りする場合には定番のルートだ。
■西穂高岳からジャンダルム経由のルート
一般ルートとしては相当な難路とのこと。
通行する場合は所要時間も長いことから、西穂山荘を早出する必要がある。




今回は重太郎新道を登りに使用し、ザイテンを下ることにした。
1日目で上高地から穂高岳に至るには、コースタイム8時間なので、
上高地を早めに出発する必要がある。
しかし、上高地はマイカー規制されているため、始発のタクシーorバスを待たねばならず、
これが最も早いのがマイカー規制用の沢渡駐車場から出発するものだ。
先週までは、前夜23時59分に新宿を出発する「ムーンライト信州」に乗れば、
新宿⇒松本⇒新島々⇒上高地と、深夜に華麗な乗継が実現し、
朝6時半には上高地に到着できるのだが、
これが終了したため、上高地に朝一で行くにはマイカーしかない。

というわけで沢渡駐車場まで行き、車中泊とする。
マイナス16℃対応の寝袋で寝るときにはむしろ暑いくらい。
快適であった。
朝5時からはバスやタクシーが動き出し騒がしくなってくる。




5時22分発のバスに乗車し、上高地へは6時に到着。
その後準備をし、6時15分に出発。




河童橋から。






最初は暗い樹林帯の中を登っていく。




今回は新規導入のダブルストックの試験運用だ。
ダブルストックは結構邪魔であるが、足の負荷を腕に分散する効果がある。
登りは推進力を得るように、体を持ち上げると良いらしく、
効果的に使えば足の負荷を10%減なのだとか。
ということは腕には10%分の負荷があるはずである。
単純に10%のスピードアップになるので、1人でタイムアタックをするときには、
なかなか厚い壁になっていた、「上昇率1分10mの壁」を破れるか?
毎時600mで登れればなかなか楽しいはすで、いろんなルートが楽しめそうだ。
で、腕に10%の負荷だと、今回のように1700mの登りだと腕で170mというわけか。
腕立て伏せだと体の重心位置は30cmほど上下するので、
今回は腕立て伏せ570回相当ということになる。









少し登ると紅葉に輝く穂高連峰が一望だ。
有名な岐阜県のヘリが墜落したジャンダルムも近いが、墜落地点はどこだかわからない。




ダイナミックレンジ16倍(±2EV)

上高地と背後には乗鞍岳。




岳沢小屋。
雪崩で倒壊したが、今夏に再建された。
非常に長い行程である重太郎新道の中では唯一の小屋で、
貴重な中継ポイントであり、遭難救助の拠点ともなっており、
登山者の安心安全に大きく貢献している施設である。


とりあえずここで朝飯にする。
実はまだ朝飯を食ってなかった。
よくそれでパワー出るな。




ここから先は険しい登りが続く。




前穂高岳との分岐になる紀美子平。
ちなみに重太郎さんの嫁の名前なんだってさ。




ここからはさらに険しい感じの道が続く。
まあ注意していけば大丈夫だろうが、それでも結構滑落事故とかがある。




だいぶ上高地が低くなってきた。




涸沢はテントが設営されているな。
なかなかいい感じの紅葉だが、ちょっとシーズン終わりという感じだ。




どんどん登る。



で、山頂だ。
穂高神社嶺宮。
ここに穂高見神(ほたかみのかみ)が降臨したとされ、
要するにここが穂高神社の本体である。




ダイナミックレンジ16倍(±2EV)

隣のジャンダルムは特異な形でありかなり迫力がある。
特に飛騨側の落ち込みがとんでもないことになっている。
下からだとただの山にしか見えないが、奥穂高から見たときだけこんな形になる。




ダイナミックレンジ16倍(±2EV)

展望盤でよーく観察すると、滋賀県の伊吹山も確認できる。
伊吹山というと関西の山というイメージなので、さすがにこれが見えたのは驚いた。



ダイナミックレンジ16倍(±2EV)

槍ヶ岳方面。



記念撮影。




もちろん360度の大展望だ。



こんなん。



涸沢カールをみおろす。



さて、頂上を満喫したので、穂高岳山荘に向かって下る。
相変わらず物凄い場所に建っている穂高岳山荘。




なかなか快適な穂高岳山荘。
ちなみに図書室はめちゃくちゃ暖房が効いている。
暖房を焚きすぎてしばらくいたら頭痛がしてきたほど。
(高所順応が不十分なのに酸素濃度が更に下がったもんだからそりゃそうだ)




まずは昼食だ。焼肉300gである。
重い昼食を担いできたのは友人の体力というより執念による。




かなり広い食堂。



穂高岳山荘は、風車2基と、太陽光発電により、
極力ディーゼル発電を使わないシステムを構築している。
ディーゼル発電はコストが非常に高く、なかなか良い方法であるな。




この風車はヘリのテールローターを流用しており、
かなりの高速回転(2,000rpm)に耐えうる設計になっているが、
実際には500rpm程度で運用しかなり静かなんだとか。




ダイナミックレンジ16倍(±2EV)




ダイナミックレンジ16倍(±2EV)




はるか下まで続く白出沢ルート。




ダイナミックレンジ16倍(±2EV)

夕日が白山へ沈んでいく。




夕食。
色々食い放題だ。
ふりかけも使い放題なので、食い放題のご飯を併せていくらでも食えるぞ。


下の涸沢も明かりが見える。




日が沈むと暗くなってきた。
友人はまだロビーでぐだぐだ、僕はとっとと寝ることにする。




部屋で寝ることにする。
部屋は1人1畳の感じだが、せっかく空いてるんだからもう少しゆったり使わせてほしい。
僕は一番奥の壁際で寝たが、さむいと思ったが逆に人が多くて暑かった。

ちなみに個室は6畳で+8000円/室。
2人だとちょっと高いかなといったところだが、4人くらいなら文句なくおすすめ。



翌朝。



ダイナミックレンジ16倍(±2EV)

朝日を見に多くの人が飛び出してくる。


朝日。
5時53分だそうなので、あまり早起きしなくてよくて助かる。
しかし、少し曇っており日の出は見れなかった。残念。




反対側の「地球の影」も低くなってきた。



朝食。



良い天気だ。



空身で山頂を往復してくる。




水平のラインが美しい笠ヶ岳。
でも登るのは大変だ。


再び山頂だ。
風もあり非常に寒い。
もう氷点下に近いはずで、そろそろ初冠雪の予感がする。




また穂高岳山荘に戻ってくる。




ここからはザイテングラートを下っていく。
涸沢のカールは、いい感じに斜面に砂利が堆積していて、
砂走りするには最適な予感がする。
とはいえ、落石が非常に激しいとのことなのでダメだろう。




紅葉。



標高2200m前後では紅葉が見事だ。
涸沢の紅葉はもうおしまいといった感じだったんだな。

横尾まで戻ってきて昼食にする。
上高地まで11km。
ここからしんどい林道歩きだ。




昼食。



徳沢。
上高地まで7km。
厳冬期も限定的に営業をしているとか。
北アルプスとはいえ、八ヶ岳の赤岳よりは難易度は低そうだ。
内部はかなり快適そうで、ミニ帝国ホテルな雰囲気も漂う。
ここで折りたたみ自転車に乗ったおばちゃんに追い抜かれる。
その手があったか。




ここで穂高神社奥宮によっていく。
穂高神社は大糸線の近くに本宮があるが、これの奥宮である。
ちなみに嶺宮は奥穂高岳の山頂にある。




ダイナミックレンジ16倍(±2EV)




明神橋。



明神。
上高地まで3km。




上高地から見た穂高岳。
なかなか立派な感じだが、やっぱり雪がないと神々しい感じがないかな。
でも今朝までそこに立っていたのだがら、たいしたものだ。




30倍の望遠鏡で覗くとこんな感じ。
42mm×2(4/3"規格なので)×30倍望遠=2520mm相当の超望遠だ。
口径80mmなので実効F16だ。
はっきりと頂上の穂高神社嶺宮が確認できるほか、写真を撮っているおっさんの姿も。




タクシーで上高地から沢渡駐車場に戻る。
バスは1人1000円だが、タクシーは定額4000円なので、4人以上ならお得。
今回は5人で相乗りしたため800円。
前列の中央席だと景色がレーシングカーみたいで面白い?




沢渡駐車場で1500円払い、帰りは乗鞍高原にある乗鞍温泉に行く。




市営の温泉施設だ。
本当は白骨温泉に行きたかったのだが、
日帰り温泉施設は17時に全部終了したとのことで、白い涙を流しながら引き返した。
とはいえ、この乗鞍温泉も、白骨温泉と尾根1つ挟んで反対側であり、
泉質もかなり似ており、実際に硫黄のpH3.12という強烈な酸性温泉だ。




姨捨SAで夕食にする。
そういえば今年はキノコが大豊作なんだそうだ。
これだけ天ぷらがあるのはいいが、1,500kcalは山登りの後じゃないと多すぎる予感。




姨捨SAといえば善光寺平の夜景である。
標高600mのSAから見下ろす夜景はウィキペディアにも載るほど。
上信越道や長野新幹線も見えてなかなか美しい。
しかし、高速道路は街灯で明るいが新幹線は暗くてわかりにくい。

その後は渋滞解消まで待ち、無事に帰還。帰還23時。



参考



12月の上高地。
もう早くも雪がたっぷり付いているが、上高地はまだ晩秋の雰囲気。
ただし既に閉山祭は終了しており、上高地に入るには中ノ湯ゲートから徒歩2時間。



定期航空機から撮影した穂高岳。
中央のカールは涸沢で、6月であるがまだかなりの雪が残っている。