旅行記



2010/05 聖岳・光岳


南アルプスの最奥部である聖岳・光岳に行ってきました。
計画では、以下のとおり。

0日目:準備及びアプローチ日。登山口まで移動し、登山口で幕営。
1日目:物資荷揚げ日。聖平小屋2270mまで荷揚げを実施。
2日目:山頂アタック日。聖平小屋2270mから聖岳山頂3013m往復。
3日目:移動日。光岳へ移動する。
4日目:下山日。光岳から登山口まで下山する。
5日目:予備日。


0日目


今回の食料及び燃料の全て。

5日分、11,000kcalを持参した。
燃料は250g×3=750gを持参。
燃料が多いのは、水場が雪で埋まっている場合、
雪を溶かして水を得なければならないため。

サトウのごはんは美味しいのだが、水も含んでいるために重い。
フリーズドライだと水を含まないので軽いが、現地で水が調達できることが前提となる。



登山口まで車で移動する。
埼玉から8時間を要し、物凄い時間が掛かることになるため、
通常は1日を要することになる。

準備が順調に進み予定より1時間早く家を出て、中央線の駅で友人と合流。


諏訪湖SAで休憩。
相変わらず夜景が美しい。
今回行く光岳が南アルプス最南であるが、
では最北はどうなのかというと、
北に行くに従って1本の稜線がだんだん低くなっていって、
最終的に諏訪湖に落ち込むことになる。
その落ち込む直前にある諏訪湖SAは、南アルプス最北とも言えそう。


諏訪湖SAには各地へ向かう夜行バスが止まっていた。
福岡行き「はかた号」は100kmhちょいくらいで巡航していたのが印象的。
こちらは、旧規格の軽自動車なので(当時は軽の法定速度が80kmhである)
80kmhの最大巡航速度として設計されているため、70〜80kmhを維持して走行。
おかげで普段のR2で100kmhで走行するよりも、若干時間が多くかかることになる。



1日目



登山口で幕営し、朝8時スタート。
今回は、冬季小屋泊まりということで、テントは不要であるが、
寝袋、食料、燃料を持っていかねばならず、
予備日も含めて5日分の食料燃料は大変重い。
気温もマイナス10℃までは下がる可能性があるため、
寝袋もそこそこまともなのが必要である。
結局、重量は18kgにも達することとなった。
そのため、1日目は完全に荷揚げ日である。

聖岳中腹2270mにある聖平冬季小屋にこの18kgの物資を搬入し、
快適なアタックキャンプを設営するのが1日目の目的である。

聖平冬季小屋までは登り標高1430mであり、
夏なら6時間なので実際には4時間程度であろうが、
今回は大変な重荷なので7時間程度を見込んだ。






ではスタート。



最初は森林軌道の廃線跡を歩く。


途中には重量150kgまでの手動ロープウェイがある。
なかなか体力を使うのが難点。



途中にあった廃屋。



きつい登りが延々と続き、標高2400mで視界が一気に開ける。



聖岳は雪で覆われており、明日の山頂往復はかなり厳しいことになりそう。



聖平冬季小屋。
県営の施設である。
県がわざわざこんな快適な設備を提供してくれるのだから、
感謝しなければならない。

寝具はないものの、清潔でかなり快適な環境。
ここの2階の3畳ほどのスペースを2人で陣取り、物資を展開する。
18kgのボッカは疲れた。
今夜はゆっくり寝よう。




小屋の隣には小聖岳直下から湧き出す透明な清流が流れる。
そのままでも問題なく飲めるが、
僕は今回燃料に余裕があったので一応煮沸だけしておく。




明日のアタックに備えて早めに休む。
寝袋はマイナス16℃まで対応のもので非常に快適。
むしろ夕方は部屋の中が6℃くらいになり暑いくらいだった。

今回の宿泊者はテントを含めて15人程度。

たっぷりの食料、いい寝袋、余裕のある燃料と3拍子そろい、
かなり快適である。
もちろんその分重いのであるが。


2日目



聖岳へアタック日である。
物資を聖平冬季小屋に置き、山頂往復に必要な装備のみをザックに積み込み、
軽装で山頂を往復することにする。




日の出



標高2500m程度で森林限界を超え、高山帯となる。



上河内岳は雲が少し掛かっている。




小聖岳からは聖岳が綺麗。



ガスがかかっているがすぐに切れることになる。



小聖岳から先は狭いナイフリッジとなる。
片側はすごい落ち込みになっていて落ちたら助かりそうもない。
年末年始に同時に2つのパーティが遭難したのもこのあたりである。



ここから先は風で磨かれ凍りついた氷の急勾配である。
アイゼンピッケルを使用して慎重に登っていく。
写真のように全体重を掛けてもアイゼンが刺さっていない。
今回の核心部である。



頂上である。
非常に良い眺め。





頂上標識等は全て埋もれておりどこが頂上だかよくわからない。



危険な山頂には長居はせず、とっとと快適な小屋に戻る。




慎重に下る。



小聖まで戻ってきた。


快適な冬季小屋。
あまりに快適すぎて、何日も「沈没(住み着いてしまう)」する人もいるとか。



なかなか快適



0℃の雪を溶かし、煮沸し水を得るには、750kJ/kgの熱量が必要である。
液体のブタンは50,000kJ/kgの熱量があるので、67倍である。
100gの燃料で7Lの水が得られる計算だが、
実際にはストーブの熱効率は30%というデータもあり、
そうとすると20倍になってしまう。
100gの燃料で2Lの水が得られる。
燃料を引き換えにしか水は得られないのである。


今回の宿泊者はテントを含めて40人程度。
これは南アルプスとしてはかなり多いほうに入るのではないか。


3日目

聖平冬季小屋から光岳小屋まで移動する。
コースタイムは9時間程度であるが、
雪があるためかなり時間を要することが予測される。



日の出。
HDR。ダイナミックレンジ16倍(±2EV)。




さて出発。
なかなか激しく雪庇が出ており危険な雰囲気。




上河内岳(2,803m)を越えていくのでアップダウンがあり大変。
ちなみに渋滞情報でおなじみの東北道の上河内SAは「かみかわち」、
上河内岳は「かみこうち」である。



なかなか高山帯が美しい。
南アルプスも高山帯なのはほんの頂上付近だけである。




森林限界は2500〜2700mなので、
高山帯を歩くのは今日の前半のみで、後半はずっと樹林帯の予定だ。



茶臼岳の頂上で昼食にする。
上空を飛行機が頻繁に通過して面白い。
さすが日本屈指の航空路の上である。




なかなか広がり感があって絵になる。




途中で水が足りなくなったので水を作成。
結構時間がかかり大変だった。



畑薙ダムが見える。
あっちは静岡なのか。



光岳まで2時間半の距離の易老岳で、
ちょうど道迷い中のパーティと遭遇した。
進んだところ地形図との違いに気付き、おかしいと思って引き返してきたという。
おかしいと思う眼もすごいし、かなり経験者の予感。
話を聞くと我々と同じ光岳に向かうという。
ということで我々もこのままだとたどり着けないので、
GPSを出して計器誘導モードにする。
電子機器が正しいルートを導いてくれ、無事にコースに乗ることができた。




夕方になりだんだん日が傾いてくる。



光岳小屋が見えてきた。
県営である。
夏の時期のみ、基本的に素泊まりでの対応となるため、
(ちなみに素泊まり3000円)
管理人が常駐する避難小屋と似たようなものである。
とはいえ、手入れがよくされており非常に内部は綺麗。
今回は管理人が常駐する期間(7〜9月)ではないので、完全に避難小屋である。



内部は非常に綺麗。
今日の宿泊者は5人。




こういうのは営業小屋っぽい。



この少ない宿泊者といい、荒涼とした光景といい、まさに「最果て」の雰囲気が漂う。
登山口までは東京から7時間掛かるし、登山口からも徒歩8時間を要する。
(でも羽田空港からだと15分なんだけどな)
一般ルートの末端なので縦走で通過する登山者もいない。
人が少なく極めて静か。




遠くには聖岳。




夕暮れ。



夕食は牛カルビ丼。



4日目




朝6時に起床すると、他のパーティは全員出発済みで無人であった。
小屋を貸し切りの贅沢を味わいつつ朝食にする。

ザックの容積はあまり変わっていないが、
食料がゴミに変わっているので少しは軽くなっている。
容積が減らないのは謎である。
(というか充填率が下がるだけ)



光岳の頂上は小屋から15分である。
樹林の中を通り、道がわかりにくい。

頂上はすみっこに頂上標識がありさびしい雰囲気。
まさに最果ての地である。




御料局三角点がある。
過去の写真を見てみると倒れてなかったのでここ近年で倒れたようだ。

展望台があり、南アルプス最南の光岳から見ているはずなのに、
南にははるか先まで山々が続く。
標高こそ低いものの開発されてない未開の山々であり、
登山道すらなく、行くのは困難を極める、「深南部」と言われる領域である。

このまま南に向かっていくと山々は徐々に標高を下げ、
静岡の街へと変わっていき、
諏訪湖から立ち上がった南アルプスの山脈は、最終的には駿河湾に沈むことになる。




さて戻ることにする。




易老岳からは標高差1470mをどんどん下ってゆく。
途中で水がなくなり干からびそうになったトラブルもあったが、
無事に駐車場まで戻ってくることができた。
天候は良く、予備日を使うことはなかったが、
連日での行動だったので結構疲れた。



駐車場までは40分の林道歩き。これがしんどい。



駐車場まで戻ったら、
慎重に車を走らせて国道まで戻り、温泉に入り汗を流して帰路につく。



千曲川PAの脇からは本線を見ることができる。
F7.1とかなり絞ると点の光が6本になる。

帰りは休憩しつつ帰ったので帰宅は深夜1時であった。
以上、総走行距離711km。
無事に帰還。

旅費は宿泊代が掛からなかったため安かったが、
装備品の減価償却費がかさんだ。



多くの写真は友人撮影。多謝。撮影機材NikonD80。


参考




(C)Microsoft フライトシミュレータX
ヘリで飛んだ聖岳。
ほぼ同じ眺めである。
相変わらずBell206Bは高高度性能が悪く、満載だと3000mでホバリングできない。
山小屋への荷揚げには使いにくいだろうな。




同じく東京大阪のエアラインを想定して、
高度10,000mを巡航するB747から見た南アルプスの山々。
というか大阪便の場合は4発機のB747は使えないから、
これはありえない眺めなんだけどな。
ちなみに羽田から離陸しても南アルプス上空までに
高度10,000mに達することは可能であるが、
性能的にB737などで満載だと苦しいかもしれない。
ちなみに下に見える湖が畑薙湖。



航空機から撮影した聖岳と聖平。
東京→大阪便の航空路の直下となっているのがわかる。

クリックで拡大。ルート図入り。


同じく 続く南アルプスの山並み。