旅行記
2009/11
国道292号 志賀草津道路 渋峠(2,172m)
群馬県長野県境を通る、日本一標高が高い国道である。
標高は県境にあたる渋峠で2,172m。
その高さゆえ、11月には早くも冬季閉鎖になる。
冬季閉鎖になって閑散とした渋峠の様子を見に行った。
(実際には草津白根山に登ったついでである)
なお、冬季閉鎖により通行止めになっている道路を通行しようとした場合、
道路法46条違反となるが、
現実にこのコースは冬はスキールートになっているため通行者は非常に多い。
なお、道路法46条において通行禁止する場合については、
法47条4項において、標識を設けなければならないと規定されているが、
スキールートになっている以上、法47条標識はないものと推察される。
このことについて、道路管理者に問い合わせたところ、
「冬季閉鎖中であり道路としての機能はなく入域については問題ない。
入域したい場合は冬山登山として、自己責任において、
そちらの規制に従って入域すること。」
との回答を得た。
というわけでスキールートになっているのも問題ないわけだ。
(じゃないと通過するスキーヤーが法46条違反になってしまう)
万座温泉まで車でいく。
万座温泉は標高1700mにある、かなりの高所にある温泉である。
1年を通して車で行ける、という条件ではもっとも高所となる。
途中で標高がそれなりに高い峠を通過。
ここから草津白根山に登る。
冬季閉鎖になっている道路を通行はしない。
トレースがあり、明らかに10本刃アイゼンの跡がある。
だいぶ心強い。
こんな感じ。
下には万座温泉。
温泉街となっている。
樹林帯を登る。
寒いが、連続定格出力で登っていると暑くなり長袖1枚となる。
いつのまにかアイゼンのトレースはなくなる。途中で引き返したか。
だんだん上の視界が開ける。
標高2000mを超えると一気に視界が開けるようになる。
完全に冬山である。
それなりに風があり寒いので着込む。
山頂へ至る道はなく、進入不可。
とはいえ、猛烈な積雪でブッシュが埋まる厳冬期ならば、
スノーシューを履いて行けるらしいが、
草津国際スキー場の監視員にバレるとダメと言われる噂。
ここが遊歩道最高地点。
こんな感じで大展望。
冬山である。
遊歩道のロープは外されている。
トレースは薄いものの、積雪は少ない(30cmくらい)ので、
道を見失うことはないが、
これがもっと積もった&ガスで視界なし&トレースなしでは、
行ける自信はないな。
火口の底
いくつかの遊歩道が交錯する。
なかなかよい景色。
冬はここの斜面を直登で頂上でいけるっぽい。
再び樹林帯へ
営業停止中のスキー場。営業は12月からのようだ。
休業中のロープウェイ。
下を見ると草津温泉だ。
去年、同じく徒歩で渋峠を目指そうとして断念したところである。
途中にある池はほぼ凍結中だった。
道路は積雪はたいしたことはないが、凍結箇所が多く滑りやすい。
でもアイゼンを付けると刃が減りそうで嫌なのでそのままいく。
というかアスファルトの区間も多く総合的にはアイゼン不要。
ここは天下の国道である。だが完全に僕1人だ。
雪で看板もひんまがるのだろうな。
青い空が美しい。
湯釜方面は進入禁止。
凍結中で滑りやすい。
万座温泉への分岐点付近。同じく冬季閉鎖中。
いい感じだ。
なんとも現実離れした光景?青い空が美しい。
あまりに明るく、僕のデジカメ(PowerShotS90)では、
最高シャッター速度の1/1600に張り付くことも多い。
もちろん絞ればOKだが、F4より絞ると画質が低下する。
明るいシーンだと1/1600・F5.6なんてのも。
山田峠避難小屋。
春夏秋は施錠閉鎖されているが、冬は開放されている。
国道を滑走するスキーヤーのための施設である。
ここはガスが出て迷うと危険なので、そのための避難小屋である。
山田峠から芳ヶ平へ下る道のトレースがついているが、
これは廃道になったようだ。
一応宿泊にも耐えられるようにできている。
収容人数は10人といったところか。
しっかりとトイレもついていて、装備さえ万全なら結構快適そうだ。
コース図。
堂々と「道路上使用」と書いてある。
やはり道路をスキーで通行するのは公認されていると考えてよいようだ。
渋峠へ向かう。
これが日本国道最高地点の渋峠。
夏ならば車で容易に到達できるが、
ここまで来るのに徒歩3時間を要した。
ちなみに冬はヘリコプターでここまで運んでくれるサービスもあるようだ。
運賃は高いが、登らなくていいのは大きいな。
ただし滑降ルートをよく見定めないと偉い事になるのはもちろんだ。
下を見ると芳ヶ平ヒュッテ。
実は通年営業である。
あのでかい建物の割りに15人と収容人数が少ないのは、
完全個室制での営業による。
夏はハイカーで、冬はスキーヤーで賑わうようだ。
スキーで行くのは基本的には難易度は高くないが、
それでも悪天候が多いこのへんでは大変だろう。
ちなみにバブルのころに流行したドラマ「私をスキーに連れてって」
では、主人公が志賀高原スキー場から
万座温泉スキー場まで移動するエピソードがある。
車でいくと数時間を要するが、直線距離では3kmしかない。
地図を見れば素人でもできる発想である。
しかし、それには豪雪の山を通過しなければならず思いのほか難易度は高い。
とはいえ、今回はこれで、一応可能なことがわかった。
渋峠ヒュッテは営業していないが、
これから始まるスキーシーズンへの準備中のようだ。
横手山。
国道292号沿いでは最も高い山である。
山頂にはヒュッテがあり、通年営業している。
夏は観光客で、冬はスキーヤーで賑わう。
泊まれば絶景の朝日夕日を拝める。
(ただし冬は冬型気圧配置により晴天率が低くてあまり期待できないとのこと。)
中はこんな感じ。
頂上はこんな感じ。電波塔がいくつもある。
もう日が傾いたので急いで戻る。
とはいえ、僕がいるのは天下の国道上である。
最悪真っ暗になったとしても道を失うことは無く、
戻ることはできるであろう。
(怖いけどな)
上空をヘリが通過。高度3000mくらいか。
万座温泉へ県道を下る。
結局アイゼンは装着せず。ピッケルも使用せず。
往復25km以上歩いてなかなか疲れた。
山を歩くのはそんなんでもないのだが、
平地のアスファルトを歩くのは、使う筋肉が違うのか、やたらと疲れる。
万座温泉まで来て温泉に入らないやつも居ないだろう。当然温泉に入る。
1100円と高かったが、かなりの硫黄泉で大満足。
こんな高所の温泉に、冬でも、車で、行けるのはやっぱりクオリティは高い。
溶解量も1kgあたり1gを超えており十分温泉として満足できる。
湯船のpHは測ったら3くらいという話も。
万座温泉とは、定番だが、それでも定番である理由がわかった気がする。
撮影禁止だったので湯船の撮影はできず。
帰りもゆっくりと帰還。
浅間山に沈む夕日。
PowerShotS90では、長時間露光でのAEBはできず、
マニュアルモードで2段ずつ露出時間を手動で切り替えて撮影となる。
少々面倒で、三脚が必要なのも難点。
AEB3連写ができるなら、
三脚なしでそこらへんにポン置きして
セルフタイマーで撮影すれば十分だったりするのだが。
大前駅に寄っていく。
吾妻線のほとんどの列車は1つ手前の万座鹿沢口までなので、
大前までくる列車は非常に少ない。
そのため非常にさびしい駅であった。
こういうところに行くには、残念ながら車が最適である。
HDR撮影をするとよい感じだが、ゴーストが目立つ。
前のデジカメはもっとゴーストに強かったのだが。
浅間山
浅間山は、群馬県長野県境にある山である。
入山規制されて半径2kmは立ち入りできないので、
隣の黒斑山までいくこととする。
上信越道は軽井沢付近でもっとも標高が高くなり、
そこから長野方面へは緩い下り勾配となる。
なぜか快晴なのに霧50kmh規制になっており不思議に思ったら、
高度800mあたりまで下降したところで雲に突入。
その後は、雲を下側に突き抜けて爽快な景色となる。
車坂峠。標高2000m近いこの峠まで車で行くことができるので、
登頂はかなり楽ちんである。
浅間山への立入り規制は災害対策基本法に基づいて行われているが、
結構勝手に入る人が後を絶たないとのこと。
ネットで検索しても勝手に登頂しました記録を見つけることができる。
特に風向きが安定する冬に、
硫化水素対策としてガスマスク(直結式小型のやつで十分)があれば、
危険ではあるもののいくことはできるようだ。
ガスマスクは1回の登山でダメになることもあるようだ。
実際に踏み跡も深いとのこと。
とはいえ、死にたくないので僕はやらないけどな。
峠にはホテルもありかなり眺めはよさそう。
既にスキー場がオープンしている。
関東としてはずいぶん早い営業開始である。
ここは太平洋側なので冬でも晴天が多く、いい感じであろうな。
八ヶ岳を思わせるシラビソの樹林帯をいく。
だんだん展望が開ける。
避難小屋。
素通しになっており雨風を防ぐ程度しか機能がなく、宿泊はできない。
というのも、これは火山弾対策の小屋である。
そのため、鉄製でかなり頑丈にできている。
大型の火山弾だと、数kgのものが飛んでくるそうで、
その破壊力は30mm機関砲弾にも相当する。
そんなもんが当たったら即死間違いなしである。
ふたたび樹林帯
一気に視界が開ける。
ここからは反対側が切れ落ちた登山道となる。
まだ積雪は少ないが、厳冬期はピッケル・10本以上アイゼンが必要とのこと。
黒斑山頂上。
特に何かがあるわけではなく狭い山頂である。
時折青い空が覗くが、雲があってなかなか明るくなってくれない。
浅間山が非常に雄大に見える。
これを見るとやっぱり登りたくなるのが山ヤの心情であろうなぁ。
ピッケルは使用しなかった。
ちなみに拡大するとしっかりとトレースが確認できる。
誰か登ったやつがいるな。
頂上からは激しく噴煙が吹き上がる。
風向きによっては、2000ppm以上の硫化水素を食らって即死であろう。
だからこっそり登るのは冬に限られるわけだ。
ちなみに今回から導入した6倍テレコン。
デジカメのズームと合わせ、換算630mmを実現するが、
実際には解像力の低下を鑑みると50%に縮小して300mmがやっとといったところ。
もちろん三脚も必須だし組み立てもレンズ交換以上にめんどい。
あまり実用的ではないが、軽量で300mmを実現できるのはでかい。
今度は違うルートで下る。
下っていく途中ででかいイノシシが道を横断。
思わずびっくりするが、熊じゃなくてよかった。
熊対策としてもピッケルは有効なので、
ピッケルを装備しつつ下っていく。
結局アイゼンは装着せず。10本刃は重かった。
下山後の温泉は高峰温泉。
夏であれば車でいくこともできる温泉であるが、
道路が冬はスキー場となるため車でいくことはできない。
浅間2000スキー場から徒歩30分を要する。
湯冷めしそうで困ったが、行ってみることにした。
スキー場は一部しか営業しておらず、無人のゲレンデを歩くことになる。
高峰温泉は予約が困難なほど人気の温泉で、
行こう行こうと思っていたが断念していた。
調べたところ外来入浴もやっているようなので、
ぜひ入りたいということで行くことにした。
宿はこんな感じで確かにランプの宿。
もちろん電気はきているが。
風呂はこんな感じ。時間が時間なので貸切であった。大満足。
標高1700mから温泉をポンプアップしているようだ。
ちなみに、かなり濃い硫黄泉である。
溶解量は1kgあたり1g以上
小諸IC付近から見る浅間山。下界はまだ秋だが、山はすっかり冬である。
帰りは無事に帰還。
参考
航空機から撮影した浅間山。
噴煙を上げているのが分かる。