旅行記
2009/10 赤石岳・荒川岳
赤石岳・荒川岳は、
南アルプス南部の奥深くに位置する山である。
作戦編
奥深くにある山ということで、非常にアプローチが長い。
登山口となる椹島は、
・静岡駅から1日1本のバス(しかも夏休みシーズンのみ)
で3時間半で畑薙第1ダム
↓
・ダムからは1日数本のバス(マイカー禁止)で1時間で椹島
都合バスに4時間半も揺られないと到達できないわけだ。
始発で東京を出ると、椹島到着が14時半になってしまい、
アプローチで1日つぶれてしまう。
そこで、前日夜に東京を出発し、夜に静岡に到着、
そこからレンタカーでダムを目指し、
朝イチのバスで椹島に向かうことで、1日目の9時に椹島に到着できる。
次の問題として、椹島の標高1100mから、
赤石・荒川ともに3100mオーバーであるので、
2000mの標高差を登ることになる。
通常の足では、1日で頂上に達することはできず、
中腹の山に宿泊することになる。
となると、セオリーどおりで行くと1日目がアプローチ、
2日目で中腹まで、3日目でやっと山頂である。
ガイドブックだと赤石・荒川をめぐるコースは、
アプローチも含めて4泊5日の贅沢な日程となっている。
とにかく、1日目で頂上を踏めないと、
1日目は疲れただけで大して達成感がない状態になってしまう。
なので、9時に椹島について、2000mを登り、さらに最寄の山小屋まで行く、
というコースを組んでみると、コースタイム11時間、
順当に行けば20時到着となってしまうのである。
とはいえ、最近はコースタイムに対する短縮率がそこそこ良いので、
コースタイムの6割の7時間として計算、
そうすると、1日目に椹島に入り、頂上を踏み、
山小屋に泊まるという満足度の高いプランになるのである。

静岡駅までは新幹線。
静岡駅は頻繁に「のぞみ」が高速で通過する。
とはいえ、√700系以外はR=2500mのカーブがあるので255kmhだがな。

静岡駅。

大規模な土砂崩落があって長いあいだ通行止めになっていたが、
ようやく解除され、夜間のみの通行規制となった。
ゲートの前には車はおらず、おかしいと思うがとにかく朝を待つ。

で、7時に通行規制解除になったのでダムまで行くと、
もうそこには大量の車が!
監視員がいるわけでもないし通行規制を無視して通るのがポイントのようだ。
とにかく8時ちょうどのバスに乗って椹島を目指す。
椹島は巨大な登山基地で、十数棟の建物がありまさにベースキャンプの様相。
ここは大井川が広くなっているところなので、
スペースには余裕があるようだ。
まさに「南アルプスの上高地」といったところである。
なお、建物にはレストラン・写真館・コインロッカー棟・神社・バーなどもあり、
まさになんでもある。

まさに登山基地なのである。

早速登り始める。
途中で自然に還りつつある林道を通過する。
この辺は林業によって奥深くまで開拓されたようである。

赤石小屋。
これはコースタイム5時間40分だが2時間半で到達。
ここを3時間切れなかったら、
今日中に頂上は無理と判断してここに宿泊しようかと思ったのだが、
十分に余裕をもって到達できたので、継続することとする。
僕は小屋や頂上では休憩を長時間取るタイプなので、
飯を食いつつしばし休憩する。
ちなみに錆鉄人夫妻は、ここまで夫婦揃って僕と同じ時間で到達している。
通常、人数が増えると遅くなるので、
この体力は恐るべしとしか言いようがない。

赤石岳は上がガスっている。
ちなみにダイナミックレンジ±1EVだが、
HDR合成の時に自然に見えるように合成させたので、
「単にカメラのダイナミックレンジが広がった」ように見える。
元のカメラがダイナミックレンジが狭いので、
±1EVでデジイチと同じくらいかちょっとマシくらいであろう。

気温は8℃。妥当なところだ。

どうも陸軍の爆撃機がこのへんに墜落したらしい。
空を飛ぶものが飛べなくなったときの結果は悲惨なものである。
http://ksa.axisz.jp/a4539Akaisidake.htm
このあたりが詳しい。

引き続き進行。
標高2600mを超えているがまだまだ樹林帯なのはさすが南アルプスである。

で、稜線に出ると一気に雪山の様相。
ガスっていて踏み跡も往復1人分。
下にはあれだけ沢山の人が居たのになんで誰も居ないんだ。
というかこれから来るのか?
紅葉狩りの気分で山に入ってきたなら即刻引き返したほうがよいぞ。

赤石岳頂上
ガスに覆われて視界はないが、
雪が積もっておりめちゃくちゃ冬山の雰囲気。
大満足である。
とりあえず疲れたので昼飯をくいつつ休憩する。

赤石岳避難小屋

小屋の中はもぬけの殻で宿泊者はゼロか?
常設寝具などは一切ないので、相当な装備が必要と思われる。
避難小屋に泊まれば宿泊費がかなり浮くし、
広いスペースを独り占めして相当面白そうだが、
バスに乗るには営業している小屋に泊まるのが条件なので、
今回は最初から避難小屋利用は考えてなかった。

気温は0℃。
連続定格出力だと長袖1枚で丁度良いくらいの感じである。

荒川小屋
今回はここに宿泊する。

100人収容の小屋であるが、今回の宿泊人数は10人。
初冠雪した山であるので人数は妥当なところであろうが、
人が少なくゆっくりと休むことができそうだ。

樹林帯にあるため大展望とはいかないか。

寝室はこんな感じ。10人なのでかなり広々使うことができた。

小屋の横には水場。
補給はかなり良いといえる。

夕食。
山の幸をふんだんに使ったメニューである。
メシを食ったらとっとと寝ることにする。
今日は疲れたが、車中泊で6時間しか寝てないのも原因でかなり眠い。

朝起きると富士山の横から朝日が。

周辺もかなり朝焼けで赤くなる。

まぶしい。
日が十分昇ったのでいざ出発。

ちょっと登るとこんな感じだ、泊まった荒川小屋が良く見える。

完全に冬山だな。

昨日とはうって変わっての大展望。

気温はマイナス3℃。

荒川中岳避難小屋
なんと宿泊していた人が1人いた。
モコモコの寝袋があれば快適に宿泊できるようだ。

荒川岳への登りは、やや岩場で注意しなければいけないが、
雪があってもアイゼンが必要ないレベルであった。
これからたっぷりと雪がつけば難しくなってくるだろう。
手前のナイフエッジもかなり難しそうである。
冬山登山ルート集によると、上級向け〜エキスパート向けとなっている。
もっとも、10月であれば入門向けくらいの難易度だろうな。

大展望。

荒川岳の山頂。
積雪5cmといったところである。
360度の展望で北アルプスまでも見通すことができる。
北アルプスが真っ白になっている。
穂高岳に行ってる友人は大丈夫だろうか。

空が青く美しい。これが冬山の醍醐味だよな。

大展望

富士山も初冠雪しているようだ。

この標高標識は東海フォレスト仕様。
間ノ岳の山頂にもあった気がする。

荒川岳の下りをゆくパーティ。
アイゼンなしなので滑落に注意していけよ〜。

3000mまで下がってくるとだいぶ雪が減ってきた。

ここは航空路の真下になっているので頻繁に航空機が通過する。
ちょうと偶然、月に重なった。
これで飛行機雲を曳いていれば月間エアラインもの(?)だったのに。

積雪は溶けてない所では5cmといったところだろう。

千枚には立派なカメラを構えた人多数。
恐らく富士山の写真を撮りに来ているのだろう。
山岳写真ではまだまだフィルム全盛といったところだが、
デジカメの高画質化でフィルムがかなり厳しい立場になっている。
具体的には35mm判の場合は理論値600万画素なので、
今のコンパクトデジカメくらいの性能しかないことになる。
(コンデジでも600万画素に縮小すれば綺麗である)
が、フィルムの場合は単にフィルムを大きくすれば画質は良くなる。
というわけで、フィルムカメラのトレンドは中判カメラになっている。
中判でメジャーな6x7サイズであれば、2900万画素相当となる。

千枚小屋
今年の6月に全焼して仮営業中。
仮設小屋やテントが設置されており、
結構がんばって営業しているのが伺える。
これだけ営業再開に早く漕ぎ着けたのは、
千枚小屋直下まで林道があり、関係者は自動車で通行可能なこと、
そこからは物資運搬用のロープウェイがあり、
人力ボッカやヘリの荷揚げが不要なことが大きい。
もともとある冬季用小屋を、仮営業に使用している。
寝袋等があるが、あまり快適ではなさそうな感じである。

冬季用の小屋はこんな感じ。ここに詰め込まれるのもかなり寒そうな気がする。
ちなみにHDR合成3枚×パノラマ写真2枚と、都合6枚の写真を合成してある。

南アルプス国立公園の範囲は、以下のとおりである。
http://www.env.go.jp/park/minamialps/intro/files/area.pdf
(PDF注意 3.5Mと重いので保存してから推奨)
見てみれば分かるように、
北岳周辺はかなりしっかりと公園になっているが、
静岡県内は、公園指定されている部分は森林限界を超えている部分のみ、
大部分は公園になっていない。
自然保護を謳うのであれば、
やはり公園指定して様々な保護が受けられるようにすべきであると考える。
そうでないと、バンバン伐採されてやりたい放題になってしまう。
(というか実際そうなっている。
↑こんな風にあちこちに林道が通って、丸太を満載したトラックが通過した)
二軒小屋ロッジよりも更に奥へかつての林道が続いており、
相当奥深くまで開拓されていたのが伺える。
実際、GoogleEarthで見てみると、
その奥深くに続く林道に廃墟とおぼしき建築物がある。
http://maps.google.co.jp/maps?hl=ja&source=hp&q=%E8%BE%B2%E9%B3%A5%E5%B2%B3&lr=&ie=UTF8&hq=&hnear=%E8%BE%B2%E9%B3%A5%E5%B2%B3&ll=35.569778,138.22468&spn=0.002378,0.00441&t=h&z=18
実際に行った人の記録を見ると、
廃墟だったり、放置されたトラックがあったりとかなり酷い状態らしい。
ちなみにここを遡り続けると、
大井川源流地点となりそのまま間ノ岳(3,189m)の頂上まで行くことができる。
もちろん林道はかなり手前で無くなってしまうが。

引き続きどんどん下山。
上のほうの雪山状態が嘘のよう。

やっと林道まで戻ってきた。

椹島に戻ってきた。
しばらくゆっくりして椹島を探検してみよう。
ダイナミックレンジ±2.5EV(32倍)。
普通に撮ると影が真っ黒になってしまうがかなり自然な感じに。
これも「カメラのダイナミックレンジが広がっただけ」というパラメータでHDR合成している。

椹島のテントサイトはかなり広大で快適そうである。

360度のパノラマ写真だとこんな感じ。
さまざまな建物があるのがお分かりいただけるかと思う。

バスを待つ。
ダイナミックレンジ±2.5EV(32倍)。

レストラン内には酒とかも売っていた。

メニューはこんな感じ。

ハラが減ったのでとりあえずうどんを食べる。おいしい。

レストラン内はこんな感じ。
なかなかおしゃれである?ここは上高地なのか?

写真館(東海フォレストの歴史が展示してある)なんてものも。

登山道に続く地点にある神社。

やっとバスが来るようだ。
さて、戻ろうか。

ダムまで戻ってきた。
二軒小屋から来た人たちは、
スーツケースを転がしていたりと、登山者が少なかったのも印象的であった。
二軒小屋、あれほど山深いのであれば、普通に泊まっても面白そうだしな。
そんな山深いところから更に山に登る我々がおかしいだけか(?)

車で静岡に戻るが、丁度井川駅で列車が出るところだった。

無事に静岡に帰還。
そこからは新幹線で帰る。日はすっかり落ちていて家に帰ったのは22時であった。
(まぁ秋葉に寄ったせいもあるけど)
以降、無事に帰還。
以下参考

航空機から見た赤石岳(左)と荒川岳(右)
高度は8km。高さ3000mの山はかなり近くに見える。

航空機から見た静岡市。
しかし、静岡市街と二軒小屋は同じ静岡市内なのに飛行機から見てもめちゃくちゃ遠い。
バスで5時間というのも納得である。