旅行記




2009/05 槍ヶ岳


槍ヶ岳は長野県・岐阜県の県境に位置する3,180mの山である。




那須岳編


で、かなり久々の3000m以上への長距離登山となるので、練習に友人と那須岳に行ってきた。
那須岳は栃木・福島県の県境にある火山である。




黒磯駅から那須ロープウェイ山麓駅へ。



那須岳に至る有料道路は非常に良い感じの道路だ。
360円(往復)、今年度中には無料開放されるようだ。



ロープウェイが運休中だったので、歩いて上に向かう。
同業者が非常に多い。



ネットで非常に怖いと噂の雪渓トラバース路が見えてきた。
たしかにこれは怖そうだ。

ネットでは、ここの通過を諦めたパーティ、
ここだけのためにピッケルを持参したパーティなどの報告もあったが、
大半の人はそのまま通過するようだ。

地形図から判読する斜度は80%。
赤岳の地蔵尾根と同じくらい、危険度も似たようなもんだろう。
だがこんな浅い場所に危険地帯があるおかげ(?)で、これ以上の先に観光客が行けない。



これも有名な看板。




おっかなびっくりで慎重に通過する。




ここから最高峰の三本槍岳へは非常にたおやかなルートとなる。
湿原状になっている部分もあり、木道区間がある。



上空を航空機が通過する。
高度が低いので成田への着陸便だろうか。



で、最高峰の三本槍岳(1,917m)へ到着。
ここにある一等三角点は地面に埋設されているものの固定されておらず使用できるかは謎。



エビのしっぽが発達していた。




青い空のもと、記念撮影。



いま来た道を引き返し、今度は茶臼岳(1,915m)へ向かう。



朝日岳から見える茶臼岳。
登山道がいい味出してる。



下を見ると駐車場やロープウェイ駅が見える。



かなり風があるものの煽られるほどではなく、非常に快適。




帰りも雪渓を慎重に通過する。
山側にストックを刺してアンカーにしつつ通過。

ストックで滑落停止ができるかは非常に微妙なところで、
上級者であれば可能のようだが、
ストックが折れたなどの報告もあって確実とは言えない。




茶臼岳は激しく噴煙が出ているところもあり硫化水素のにおいがする。
山頂の窪地には水が溜まっており、凍っている。



で、山頂に到着。




山頂の那須岳神社の隣に、岩の陰に十字架がある。
キリスト教にも「山の神様」が居るとは思えないし、謎である。




青い空が美しい。

三本槍岳のハイマツの絨毯や湿原、朝日岳の雪渓や茶臼岳のガレ場といい、
短い行程で変化が大きく歩いてて飽きさせない非常に面白い山である。

十分満喫したので運行再開したロープウェイ駅へ下る。


ロープウェイ駅に設置されている20倍双眼鏡で白河市街がはっきり確認できる。
どうも那須という名前のせいで栃木のイメージだがここは栃木と福島の国境なのである。

帰りは大丸温泉でほこりを流し、帰還。
行きは新幹線で贅沢してしまったので、帰りは黒磯駅から普通列車で帰る。
G車は750円なので、G車に乗って弁当を食べた後爆睡。


以上、無事に帰還。大半の写真は有人撮影。多謝。


参考
航空機から見た那須岳。時期はほぼ同じ。残雪の状態も例年通りのようだ。
ここは羽田⇒千歳の航空路になっており飛行機から目にする機会も多い。



槍ヶ岳編






前夜のうちに松本に移動し、朝4時45分の列車に乗る。





上高地には6時半着。準備をして7時に出発。



明神。上高地から3km。林道を歩くのはしんどい。




徳沢。上高地から6.4km。
テントが大量に設営してありベースキャンプになっている。



上高地から徒歩2時間、やっと横尾に到着。
距離を見て分かってはいても絶句、2日で44km歩くのか。
平地で44kmなら大したことないが、標高差で1700mあることを考えるとかなりきつい。

そしてここまでで11km歩いて100mしか標高を稼いでいない。
なんというハイキング。



ここからは林道から登山道となるが、相変わらず平坦な道が続く。




槍ヶ岳へ至る道の勾配

場所 標高 標準タイム 1hでの標高差
上高地 1505 0h  
横尾 1620 3h10m 36m
槍沢ロッジ 1820 4h50m 120m
大曲 2100 6h30m 170m
槍ヶ岳山荘 3020 10h20m 240m
槍ヶ岳 3180 10h50m 320m

ちなみに、槍ヶ岳へ至る道は最初は緩く、だんだんきつくなってくる。
コースタイム1時間あたりに稼ぐ標高は以上の表のとおり。
最初はほぼフラットな道だが、だんだん普通の登山道になる。
だが上のほうは3000m近い標高のためにコースタイムは遅めに設定されているようだ。





槍沢ロッジに到着。
まだまだほとんど標高を稼いでおらず、最後が苦労しそう。



樹林帯を抜けて雪渓の上をゆく。
雪がぐじゅぐじゅになっており歩きにくい。




まだまだ進め。しかし空が青いなぁ。
雪崩の跡が登山道まで達していたりと、まだヤバイことを予想させる。
(左手前にある茶色い雪がそれ)



槍ヶ岳山荘が見えてきた。
しかし見えてきてからが遠い。



高空を飛行機が通過する。





槍ヶ岳山荘に到着。
早速チェックインする。
宿泊者カードを書く時に前泊地「松本」と書いたら速いですねぇと言われた。
コースタイム10時間20分のところを6時間40分で到着したが、
ネットで有名な錆鉄人氏なら4時間くらいで来れそう。



3020mの山荘の前からは、青い空を見ることができる。




で、1時半なのにぐだぐだするのは勿体無いので、槍の穂先にアタックすることにしたい。

が、氷がついて危険なため、どうしたものか。
選択肢は3つ。
 →登頂を諦める(半分以上の人がこれ)
 →ザイルで確保しつつ登る(最も正解に近い)
 →確保なしで単独登攀(極めてデンジャー)


事前にネットで、ザイルが必要な場合があり、
登頂を諦める人が多いという情報は得ていたため、
補助ロープ(5mm×15m)、カラビナ(24kN)を装着して補助的に確保できるようなシステムを持って行った。
5mmのザイルは引張強度が700kgfくらいのため、
2重で使っても垂直に落下すれば切れると思うが、垂直ではなく斜めになるはずなので大丈夫だろう。




なかなか良い景色。



デンジャラスなアイスバーン。
雪は一見ふかふかに見えるが、すぐ下はガチガチの氷であり、ピッケルが刺さらない。
アイゼンの前爪を蹴り込んで支点とするが、ずるっと滑ったりすると一気に冷や汗が噴出してくる。




槍ヶ岳山荘が見える、こんなところに凄い小屋をよくおったてたもんだ。




で、頂上に到着。
有名な「成果不能扱い」になっている2等三角点。
標石が地面に埋設・固定されておらず、位置と標高を出すことが出来ない。



頂上



山頂の祠は雷が命中するために年3回は交換されるとか。




で、記念撮影。




穂高方面は超雪山となっている。




まだまだ登ってくる人が多い。




常念岳(2857m)が綺麗な三角錐として見える。あちらは標高がやや低いこともあり雪は少なそう。




頂上は狭いが、夏と違って人が少ないのでまったりとできる。



近い!
こちらは高度3km、あちらは10kmといったところか。



下は超絶壁。




余裕で携帯が通じる。
写真を撮ろうと思ったら全然画面が取れない。当然か。
逆に自分のカメラが撮れただけであった。

ところでマクロモードにして望遠端にすると実焦点距離が20mmくらいになるので、
そこそこ背景がボケてくれる。



デンジャラスな斜面を下る。



アンザイレンで上がってくるパーティを一旦退避する。
むこうは確保されてるからいいがこっちは単独登攀、
浮いている石が多いめちゃくちゃ不安定な場所で待機するのはかなり怖い。



無事に降りてきた。
冷や汗が出切った感じだ。
結局ザイルは使わなかった、
使おうと思えば使える安心感のために持っていったといってよい。



これから登っていくパーティも多い。




山小屋の中はこんな感じ。
携帯の充電器があったのはワロタ。



部屋はこんな感じ。
1人1畳のスペースは確保されているが、300人収容のなか50人なんだから、
もうちょっと広々使わせて欲しい。
しかし50人とは予想外に少ない。もっと沢山いるかと思ったのだが、
ここまで登ってくる奴はかなり少ないのだろう。




小屋の前からは槍の穂先がいい感じに見えて、
品評会状態になっている。
「あのパーティはよく確保してて上手いねぇ〜」とか、
「あの兄ちゃん単独なのに足取り軽いね凄いね」とか、
登ってる人の必死さに関わらずなんとものんきである。



これは見てるこっちが怖い。
このパーティはザイルで確保しているので問題ないが、単独登攀はガクブルである。



夕食。おかず以外のものはおかわり自由。
標高3000mのために沸点が下がっており、味噌汁は超熱々というわけにはいかないようだ。



日が暮れる。



ネットで有名なライブカメラ




テント場には複数のテントが設営されている。



岐阜県警のヘリが近くに飛来した。
パイロットの後ろの人が手を振ってきたので何事かと思ったら、
隣のおばちゃんが手を振っただけのようだ。

山小屋でやる分には良いが、
普通の登山道でやると救助要請に間違えられて目の前に着陸されたりということがありうるので、
ほどほどにしておきたいところである。






槍ヶ岳山荘の見取り図。非常に広く様々な部屋がある。
クリックで拡大。
(やたらとノイジーなのはISO400での撮影のため)

この案内図非常に便利なので槍ヶ岳山荘のサイトに掲載してほしいくらいだ。



本館1F。今日の部屋はこんな感じだ。主にソロ〜2人パーティが割り当てられている。
(ダイナミックレンジ+2EV)


本館の2Fは主に大パーティが割り当てられている。
(ダイナミックレンジ+2EV)







翌日朝

地平線近くには雲が垂れ込めており朝日はおがめなかった。



早朝から穂先にアタックするパーティ




朝はデンジャラスなアイスバーンがガチガチに凍り付いており、
ザイルなしでの登攀は無理とのこと。




良い天気だが天気予報では下り坂のようだ。
これから下山することにしたい。



日差しが超まぶしい。
昨日よりだいぶ登ってくる人が多い。

この急斜面を持参したソリで一気に滑走する。
最高速度は20kmhくらいは出そう。
ピッケルで速度を制御しつつ、ケガをしないように慎重に滑走する。
先に山荘を出発したパーティをガンガン追い越して下る。

ちなみに滑走する同業者は多いようで、上手い人だともっと速いとか。




いきなり長野県警のヘリが目の前に飛来。
よく見ると負傷者がいるようだ。

この後も滑走したいが、滑落者と間違えられると大変なのでしばらく座ってヘリ見物。
ちなみに山荘からここまで下りコースタイム150分のところを滑走して40分で到着した。



あっというまに負傷者をホイストする。
標高2100mでホバリングできるのもなかなか凄い。

脚を出しているのは万が一のエンジンフェイルに備えてのため。
着陸はしていない。
それにしても物凄いダウンウォッシュがこちらに来る。
雪が吹っ飛んできて目が・・・と思ったらサングラスをしているので余裕であった。



そのまま斜めに上昇したあと、スピードを付けて飛び去っていった。



このへんまで降りてくると斜度がゆるくて上手い具合に滑走できなくなる。
ソリとカッパをしまい、歩いて下る。


槍沢ロッジに到着。



昨日の登頂で氷壁に打ち込んだり滑走の制動に使ったりして、少し刃が欠けてしまった。
まぁピッケルほど頑丈な登山用具もないので、全く問題がないレベル。



上高地に到着。
雪は無く上とは別世界。



あとはバスと電車と新幹線を乗り継いで無事に帰還。



場所 標高 時間 累積タイム 標準タイム 備考
上高地 1505 6:50 0h 0h  
横尾 1620 8:50 2h 3h10m  
槍沢ロッジ 1820 10:05 3h15m 4h50m  
大曲 2100 11:10 4h20m 6h30m  
槍ヶ岳山荘 3020 13:30 6h40m 10h20m  
槍ヶ岳 3180 未計測   10h50m  
槍ヶ岳山荘 3020 未計測   11h20m  
          宿泊
槍ヶ岳山荘 3020 8:00 0h 0h0m  
大曲 2100 8:40 40m 2h30m  
槍沢ロッジ 1820 9:30 1h30m 3h30m  
横尾 1620 10:45 2h45m 4h50m  
上高地 1505 12:45 4h45m 8h00m  

なお、コースタイム比は登り65%、下りは59%
下りはソリでの滑走の時間短縮効果がかなり大きかった。




参考

航空機から見た北アルプス全体。
11月末であるが、どれも真っ白になっている。
槍もこう見ると北アの中では奥深い場所にある。よくまぁ行ったもんだ。