旅行記
2009/03 八ヶ岳
そろそろ春なので八ヶ岳最高峰(2,899m)に行ってきました。

夏であれば、標高1720mの美濃戸から出発できるのだが、
そこに至る林道が通行困難であることが予測されたため、
標高1500mの美濃戸口からのスタートとなった。

雪があるものの林道は4駆車なら十分に通行可能なレベル。

そこから先は凍結した登山道が続く。
スケートリンクの如くガチガチに凍結しており、アイゼンを装着する。

今回新規に導入した10本刃アイゼン。
前爪付きで強力な登攀性能があるが、重いのが難点。
また、爪を引っ掛けて転びやすい。

行者小屋まで到着、営業はしていないようだ。

急斜面を登っていく。
転んだら終わりになりそうな斜面もあるので十分に気を引き締めていく。

一瞬の雲の切れ目に小屋と頂上が見えた。
雪と氷に閉ざされた頂上はなんとも言いがたい美しさだ。

今回の宿は標高2720mに位置する「赤岳天望荘」
厳冬季営業中であり、定員200名のうち75名分の個室棟のみを使用するなど、
限定的に営業をしている。

頂上までもう少しだ。転ばないように気をつける。
歩き方、アイゼンを履いているときはガニマタで歩くのが基本、
この写真のように歩くと爪を引っ掛けて転倒する恐れがある。

赤岳頂上小屋

下界は雲りの天気のようだが、どうやら頂上は快晴のようだ。
なんとも神々しい光景。

もちとん記念撮影としゃれこむ。

我々のチームフラッグも掲げた。

青い空が美しい。

高空を飛行機が通過、飛行機雲を曳いているが高度が高く機体は見えない。

南アルプスが見える。

下を覗くと行者小屋が見える。
営業はしていないが、場所自体が雪崩・風のない安全地帯ということもあり
大量のテントが設営されてベースキャンプとなっている。

富士山がかなり綺麗に見える、手前は甲府盆地。

赤岳は2899mの八ヶ岳最高峰である。

頂上に設置されている看板から、
銃で照準をつけるように先を見ると、槍ヶ岳を指すようになっている。

さて、日が傾いてきたので下ることにする。
転ばないように慎重にいく。
赤岳は今年に入ってからだけで数名が滑落で亡くなっている。
人数から考えると、確率は0.1%か、もっと低いかもしれないが、危ないことには変わりない。
ちなみに、初心者がいい加減な装備で登る富士山は0.001%、
年末年始の北アルプスは0.1%である。

と思ったら撮影担当が、ステップが崩れたために滑落、
速度がつくまえにアイゼンを雪面に蹴り込んで初期制動に成功、4mほどの滑走で停止する。
これは見てるほうがびっくりした、もし止まらなかったら500m下まで一直線だ。
写真は翌日に撮影したもの。

気を取り直して下山を続ける。
強風のために風紋が出来ている。

宿に到着。
そろそろ日が暮れるので荷物だけ置いて再び外へ。

空気が澄んでいるため綺麗な夕日となる。
高度が高いため、空全体が赤くなるわけではない。
たぶん、地上では綺麗な夕焼け空が広がっているはずだ。

予定より10分遅い日没。
高度が高いために、日没は遅くなる。
ちなみに旅客機が飛ぶ高度12kmでは、地平線が400km先になるため、
日没は15〜30分以上遅くなる。(季節・緯度により異なる)

右に見えるのは乗鞍岳(3026m、距離75km)
その左奥に見えるのが白山(2702m、距離145km)
白山の向こうは石川県、そして日本海だ。

寒いので小屋に引き上げて、お茶を飲みつつ夕食まで休む。
小屋の中は大量の電気製品があり、壁にはLANケーブルが走っており無線LANもある。
インターネットにも接続しているが、
FOMAの圏内であることから、64kとはいえデータ通信し放題も可能、
10年前の我が家(ISDN64k)と同じくらいのネット環境を実現している。
部屋の中は10℃近くあり暖かい。
大出力のジェットヒーター1基のみでここまで暖かくできるのか。
ジェットヒーター、ジェットという名前がついており形もジェットエンジンそっくりだが
原理的には「アフターバーナー付きダクテッドファンエンジン」、
もしくは「圧縮機に電動機を使用したモータージェットエンジン」といったところか?

避難小屋に管理人が常駐する程度の待遇だと考え、
食料などは多めに持っていったのだが、
体制としてはそれほど悪くなく、かなり快適な環境。
しかし今日も宿泊客は20名程度とかなり少なく(夏は200名程度なので1割)、
冬は大量の燃料などの経費も莫大であることから、
これはもうボランティアで営業しているようなものである。
泊めてもらっている我々は宿のオヤジに感謝しつつ、暖かいお茶をいただくことにした。

山の幸をふんだんに使った食事。
カップに名前が書いてあるのは、そういう指示をチェックイン時に受けたため。
当然、自分の名前を記入する。
ちなみにバイキング形式なので実質的に食べ放題である。

個室棟は、
2畳の部屋が2名パーティに割り当てられ、
3畳の部屋が3名パーティに割り当てられているようだ。
なお、夏はそれぞれ4人、5人が定員となるようだ。

次の日の日の出。
ちなみにNARUはまだ夢の中。

日が昇ってきたことで気温も上がるだろう。
気温は現在マイナス8℃、それほど寒くはないが、風速30m以上の風がきっつい。
厳冬期はマイナス30℃程度まで下がることもあるようだ。恐るべし。

電力は通常は風力発電でまかなえるようだ。
稜線上にあるということもあり常に大量の風力が手に入る。
だが冬は風力発電の定格回転数を超えるために運転を停止しているのか、
発電を行っていないようだった。

今日も良い天気だ。
コンティニュアスビレイで行くパーティも居た。
要するにロープで電車ごっこしながら行くのである。
どちらかが滑落したら、もう片方が停止する。
パーティメンバーの重量差が大きい場合は使えないと思われる方法である。
軽い人でも装備含めて50〜60kgくらいはあるだろう。
これを受け止めるのは、伸びの少ないナイロンザイルでは相当な衝撃力が掛かると思われる。
ピッケルでアンカーにすれば可能だろうが、とっさには難しいと思う。
運が悪ければ一蓮托生になってしまう。

諏訪湖が綺麗に見える。
奥の山は、乗鞍岳(左)、焼岳(右)

頂上は既に多くの人がいた。
時間を考えれば、赤岳鉱泉や行者小屋から上がってきた人だろう。

頂上からの下山は、同じルートを引き返すこととした。
反対側に下山するルートは更に斜度がきつく、我々では手に負えないと思われるからだ。

月を貫いて飛行機が飛ぶ。

極めてデンジャーな斜面を通過する。ころんではいけない。

ここも危険な地点だ、
雪のステップをたどっていけば大丈夫だが、
ステップが崩れた場合、死ぬかもしれない。
ステップ崩れに対しては、
斜面にピッケルを打ち込んで体重を掛けつつ行くか、
もしくはコンティニュアスビレイしかないような気がするのだが、
エキスパートの皆様はどうしているのか気になるところである。

赤岳鉱泉。
登山道もハードではなく、登山口から2時間ほどで到着できることもあり、
通年を通して賑わっている。
収容人数は八ヶ岳の小屋の中で最大の400人。
登山口から2時間ということでそれほど山深い場所にあるわけではないが、
秘境の温泉として考えると、徒歩2時間なので相当な秘境の部類に入ると思われる。

アイスクライミングの練習台。通称アイスウォール。

甲高いターボプロップ音がしたと思ったら、自衛隊のC-130が通過した。
高度は高くなく、飛行機雲も曳いていない。

赤岳鉱泉から美濃戸口までは約2時間、バスの時間もあるのでやや急ぎ気味に歩く。
美濃戸口の山荘で風呂に入り、バスで茅野駅まで帰還。
その後特急あずさで東京まで戻り、夕食は鍋とした。
大半の写真は友人撮影、多謝。撮影機材NikonD80。