旅行記
2008/10 北岳・間ノ岳
北岳は日本2位の標高(3193m)
間ノ岳は日本4位の標高(3189m)
どちらも南アルプスの深部に位置する山である。

やはり前日に甲府まで移動しておく。
比較的難易度が高いため、2泊3日の行程が推奨されているが、
今回は日程の関係で1泊2日で行くことにする。
甲府で前泊しているので実質2泊3日だけどな。

宿泊はビジホ。
明日に備えてまったりと休む。

朝4時甲府発のバスで、広河原まで移動。
6時着で、登山の体勢を整え、6時半に出発。
荷物(ノートPCとか)は広河原に預けてきた。

沢の横の樹林帯を登る。
登山道に激しく水が流れている箇所もあり、
耐水仕様の靴でないとびちょびしょになりそう。

上を見ると今回目標とする北岳が見える。
白いのは・・・・雪だ。
登山口からの情報によると、積雪5cm、軽アイゼンの携行を推奨するとのこと。
ア イ ゼ ン 忘 れ た (^Д^)

前の年の雪渓が残っている。

踏んだら激しく踏み抜きそう。

だんだん高度を稼いでいく。

やっと稜線まで出た。
ここまで所要3時間、標高差1300mは結構きつかった。
しかも途中に山小屋は無い。

体力的には相当きついが、特段技術的に危険な箇所は少ない。

まだまだあるなぁ

北岳山荘の赤い屋根まで、もう少しだ。

北岳山荘は、標高2900mにある150人収容の山小屋である。
近代的な設備で評判で、部屋も広く、ゆったりと寝られるらしい。

分岐点には標識が完備されており、
迷う心配はほとんどない。

2機の戦闘機が低空(20,000ftくらい?)を、独特の甲高い音を響かせながら通過したあと、
高空を輸送機らしきものが通過した。
普通、民間航空機の場合は色が白いので目立つのだが、
軍用機はロービジ(低視認性塗装)のせいか、空の青さに溶け込んでほとんど見えない。

民間機の場合は激しく目立つ。
ANAのB747-400。
これ、500mmくらいの高倍率レンズを用意すれば、
かなり良い飛行機の撮影スポットにできそう。
飛行機雲を出しながら飛ぶ飛行機を撮れるポイントってそうそうないのでは。

3000mの稜線からは北岳が青い空に向かってそびえている。
3000mの稜線を歩けるところなんて、日本でいくつもない。
ここのほかには、富士山の火口1周と、北アの穂高〜槍ヶ岳あたりか。

間ノ岳をめざす。
どうみても雪山。本当に大丈夫か?

高山病で息も絶え絶えになりながら、
多くの人に追い抜かれて、コースタイムよりだいぶ多く掛かって牛歩で進む。
この時期にこの山に登ろうなんて人はやっぱりツワモノが多いのか、みんな速い。

間ノ岳は広い山頂が特徴である。どこが頂上なんだ?

発見。
頭痛で歩くのがやっとぐらいの感じで山頂に到着。

なんという青い空。そして雪。
しかし特に滑る場所はなく、アイゼンは必要ないレベル。

息も絶え絶えになりながら戻ると、
ちょうど3000mあたりで雪がぱっとなくなる。
この辺まで降りてくると、少し高山病もマシになってきた。

ちょっとこちらより高いくらいの高度を小型機が通過した。
たぶん高度4kmくらいだろうか。
セスナ172では、頑張ってもそこまで上がれないので、機種はなんだろう。
足が出っぱなしなのであまり高速な機種ではないだろう。

すれ違った人には、「雪は大丈夫ですか」と言われること数回。
やっぱりみんな心配するのはそこだよな。当然か。

山荘までもう少しだ。
ハイマツを縫って通る登山道がなかなかアルペン的でステキである。

北岳山荘の赤い屋根は、
JALの垂直尾翼の赤塗装よりも面積が大きい(そしてこの赤はここから見える)ことから、
北岳山荘は飛行機から見えるのでは?

JALとANAの飛行機が空中でクロスする。
JALのほうに飛行機雲が出てないのは、JALのほうが高度が低いため。

山小屋に落ち着く。
高山病で頭が痛いのでまったりとくつろぐ。
近くのオバチャンは高山病で吐いてた。
人によってはかなり苦しそう。
それにしても準冬山で20Lのザックはさすがに容量不足なので、
そろそろいい加減新しいザックを買おうか検討中。

水はかなり貴重で、
300m下の水場からポンプアップしているとのこと。
そのため水は1L100円で販売している。
手洗い、洗顔、その他もろもろに使える。

北岳山荘文庫

北岳山荘は4機のディーゼル発電機によって電力が供給されている。
特に自然エネルギーを活用しているというわけではないようだ。

東側斜面に位置するので夕暮れは日陰だが、
明日の朝は期待できそうだ。

寝静まった山小屋。
ISO80、60秒露光だが、Photoshopで2倍まで増感相当処理、実質ISO160。
つまり実際にはほとんど真っ暗というわけだ。
風力発電がないため、バッテリーから使える電力に限りがあり、
使い切るとディーゼルを稼動させなければいけなくなってしまう。
そのため、常夜灯の数は少ない。
部屋の中は真っ暗になり、ヘッドライトが必要だが、
ヘッドライトは最弱にしても明るすぎる。
携帯のバックライトで十分だ。

夜景を撮影すると、
左側が明るい。これは、東京の市街地があるため。
富士山と手前の雲海が明るいのは月明かりのためだ。
なかなか幻想的な光景だ。
ISO80、60秒露光だが、Photoshopで2.5倍まで増感相当処理、実質ISO200。

起きると朝5時半、寝たのが16時だから、13時間半寝てしまった計算だ。
昨日の疲れはおろか、普段の疲れさえ回復した気がする。
部屋からは綺麗な朝焼けが見えた。

小屋はだんだんざわざわしてくる。
隣の部屋は5時半だと全員出発してしまって誰も居なかった。

食堂。
6時から朝食なので準備がされている。

日の出を待つ。
カメラを構えた人大杉。
富士山の横から日の出という最高のスポットで有名だが、
三脚が20台くらい並んでるのはなんとも。

出発する人が増えてくる。

日が昇ってきた!
日本一の日の出と評判の北岳、さすがに素晴らしい。
富士山からの日の出素晴らしいが、富士山は富士山が見れないという難点があるのだ。

朝日を浴びて北岳が輝く。

寒そうに日に出を拝む人多数。

富士山が朝焼けの中に。

富士山と日の出。

朝日を浴びて輝く中央アルプス。
手前の駒ヶ根市街はまだ日の出前だ。

出発は7時ちょっと。
まったりと朝食を食べていたら完全に出遅れた格好だ。
昨日は高山病で完全に食欲がなく、
累計1800m登ったのにオニギリ1個しか食べてない。
お腹が減ったのでだいぶ満腹まで食べた。
ちなみに高山病の症状は以下のように進む。
頭痛→食欲不振→めまい→嘔吐→肺水腫→脳水腫→死亡
日本では肺水腫まで行く人は富士山で何人かおり、死亡する人も居る。
3000mのアルプスでも稀に発症する人が居る。
4000mのペルーやチベットでは日本人もかなりの数が高山病で重症になっており、
意外と油断できない。
危険かどうかを判断する1つの基準は「嘔吐」だそうで、
「吐き始めたら即座に下山」が基本だそうだ。
ペルーやチベットと違い、高山では簡単に下山できる。

ハイマツの あいだを進む 砂礫道
風がありかなり寒い。もう完全に3000mは冬だ。

結構なナイフリッジ(刃のように尖った尾根)だ。

北岳頂上に到着。
紺色の空は、まるで地上とは思えない。
やっぱり3000mを越えると空の青は本当に美しい。
右上に見える白い点は月。

拡大した月。

ケルンと月

手前の鳳凰三山の奥には奥秩父連峰が見える。

空が飛びたくなってくるなぁ。こんな風に。

手前の山は仙丈ケ岳。
奥には乗鞍と穂高が見える。
今日はよく空気が澄んでいる。

手前は駒ヶ根市街地と、奥には御嶽まで見える。
中央道が、甲府〜諏訪〜駒ヶ根まで200km以上にわたって見えていることになる。
なんだか日本地図のまんなかに立った気分。

甲斐駒ヶ岳。2週間前に登ったところだ。
さすがに南アルプス最高の展望と評されるだけあって、
まさに日本地図を実感できるくらいの、素晴らしい展望であった。

頂上でまったりと休む。
高度順応が完了し、高山病の症状は全くない。
3000mくらいで泊まれば更に上を目指せるということは、
富士山では一般に7〜8合目(3000〜3300m)に泊まる人が多いというのも納得だな。

鳳凰三山のオベリスク(尖塔)と、奥には奥秩父連峰。

奥には八ヶ岳
その手前には小淵沢市街。

下を見ると今日登ってきたルートが見える。
さて、下山することにしよう。

南側斜面から登ったので雪はほぼ無かったが、
降りる時は北側斜面からなので、
雪が凍結して滑るようになっている。
こちらのルートは広河原までやや遠回りなので、
あまり降りていく人はいない。
青い建物は、北岳肩の小屋。通称「肩小屋」

肩小屋から北岳を見ると激しく雪山。
もう3000m級の山はシーズン終了だろう。
途中、滑るポイントはいくつかあったが、
転倒→滑落→即死のコンボになりそうなところはなかったので大丈夫そう。

肩小屋は北岳山荘(通称「山荘」)と比べると、こんな感じ。
| 北岳肩ノ小屋 | 北岳山荘 | 白根御池小屋 | |
| 通称 | 肩小屋 | 山荘 | お池 |
| 標高 | 3000 | 2900 | 2230 |
| 展望 | ★★★★★ | ★★★★ | ★ |
| 収容人数 | ★★ | ★★★ | ★★★ |
| 設備 | ★ | ★★★ | ★★★ |
展望はかなり良好、しかも標高は一番高いので、
できればここに泊まりたかったが、
1日目に高山病でやられている状態で北岳を越えてここまで来るのは不可能だったので諦めた。
しかし、山荘は前評判どおり近代的な設備が好印象だったので、
山荘もなかなか良かった。

さてどんどん下ることにしよう。

軍用機が何回か通過する。
今日、百里基地で開催されている航空観閲式の関係だろうか。
ターボプロップ4発の輸送機は高度もそれほど高くないせいで、
飛行機雲が出てないが何とか発見できるのに対し、
戦闘機はロービジ塗装で小さい上に、
マッハ数が高い?ので音と全然違う方向に居たりして、
さっぱり発見できなかった。
国内線ジェット旅客機だとM0.8くらい、
ターボプロップ輸送機だとM0.5くらい、
それに対して戦闘機だとM0.9以上は出ているのだろうか?
だいぶ音と違う場所に見えた。
米粒のような点しか見えず、写真は撮れなかった。

枯れた樹林帯を下っていくと、池とテントが見えた。

大きなテントが設営されているが、
ここは北岳の中腹にある関係でベースキャンプになっているのだろう。
ここにテントを設営して、頂上アタックというわけだ。
なかには○○高校山岳部とか書いてあるテントもある。
頑張るなぁ。

白根御池小屋。

樹林帯を下っていく。
こちらのルートはメインルートから外れているため、
ほとんど人に会わない。
すれ違ったのは3時間下って2パーティだけだった。
これだけ少ないと熊がちょっと怖い。
踏み跡もちょっと薄く、たまに赤リボンをロストすることもあり、
少しヒヤヒヤする。

紅葉はほぼ終わりのようだ。

北岳を振り返る。
我が国第二の高峰は、たしかに簡単には登らせてくれなかった。

広河原に戻ってきた。
バスは約2時間に1本、次のバスまでは1時間あるのでゆっくりと休み昼食にする。
ここからはバスでぐっすりと寝て甲府まで戻り、
特急「かいじ」で新宿まで戻る。
足はかなり疲れたが、良く寝たせいで体には疲れは残らなかった。
| 標高m | 標準:分 | 実際:分 | 時間 | 備考 | |
| 広河原 | 1520 | 0 | 0 | 0630 | 登山口 |
| 八本歯のコル | 2800 | 270 | 185 | 0935 | |
| 北岳山荘 | 2900 | 360 | 265 | 1035 | |
| 間ノ岳 | 3189 | 460 | 390 | 1240 | 山頂 |
| 北岳山荘 | 2900 | 540 | 490 | 1420 | |
| 宿泊 | |||||
| 北岳山荘 | 2900 | 540 | 490 | 0720 | |
| 北岳 | 3193 | 620 | 560 | 0830 | 山頂 |
| 御池小屋 | 2230 | 770 | 660 | 1010 | |
| 広河原 | 1520 | 880 | 740 | 1130 | 下山口 |

羽田発の航空機から見た北岳・間ノ岳。友人撮影。
やっぱり予想通り北岳山荘の赤い屋根が見えている。

こちらは羽田→伊丹便からの写真。筆者撮影。3月上旬。
北岳⇔間ノ岳の間にゆるやかに稜線が延びるのが分かる。