旅行記
2008/07 白馬山荘
白馬山荘とは、白馬岳頂上直下2830mに位置する、
日本最大の1500人収容の山小屋である。

深夜1時50分に出発。白馬につく頃には明るくなってくる。
機長席には機長、操縦を行う。
副操縦士席には案内担当、航法支援を行う。
後席には撮影担当。

6時に白馬駅到着。
駅には前日夜に新宿を出たムーンライト信州が停車しており、
登山者でごったがえしている。
白馬館でレンタルのアイゼンを借りる。
駐車場に車をとめ、ここからタクシーで登山口へ向かう。
登山口までは、バス980円、タクシー3600円なので、
4人以上ならばタクシーのほうが安いが、
タクシーはバスより速く、3人であれば間違いなくタクシーで良いとおもわれる。

登山口の猿倉は登山開始に備えて準備をする人でごったがえしている。
ここで体勢を整え登山開始に備える。
なお、ルート等を示した登山計画書は既に自宅に備えてあるため、提出の必要はなし。
帰宅予定時間になっても戻らない・かつ連絡不能の場合、
家族が関係機関に連絡する手筈になっている。
今回のパーティは3人。
各種装備を紹介。
| 主要装備 | 合計重量 | |
| 機長 | 固体燃料ブースター(食料3kg)、 液体燃料ブースター(水6L)、GPS、6本刃アイゼン、その他 |
合計15kg程度 |
| 撮影担当 | デジタル一眼レフ、三脚、4本刃レンタルアイゼン、 水1.5L、ゴアテックス製雨具、その他 |
合計10kg程度 |
| 案内担当 | 水1.5L、6本刃アイゼン、緊急用装備 その他 |
合計5kg程度 |
なお、案内担当が持参した緊急用装備は以下の通り。
| ツェルト | 簡易テント。 1人がすっぽり入って寝れるか、3人が座れるくらいの容積。 最悪の場合に、悪天候下で1晩夜を越せるはず。 雨具の防滴能力が不足する場合はポンチョにもなるほか、 ストックとあわせて負傷者を運ぶ担架にもできる万能なしろもの。 |
| ロープ | 使い道多数。 |
| レスキューシート | アルミ蒸着のアクリルシートで非常に高い保温性をもつ。 ツェルトとあわせて悪天候下でのビバーグに使用。 |
| ヘッドランプ | 夜行は予定していないので緊急用装備。 到着が日没に間に合わない場合、 山中では完全に闇夜になり行動不能となる。 ヘッドランプがあれば、何とか次の山小屋までは到達できる。 |
| 非常食 | カロリーメイト。 |
計1kg、1.5万円。
本当にこんなに必要なのか?
と思うだろうが、僕らが行ったあと、白馬岳で遭難者が出た。
ましてや我々は初心者パーティ。
油断は禁物である。

6:55。登山開始。

樹林帯を歩く。

白馬尻荘。

アイゼンを装着。
ごらんの通り、靴の裏に刃を装着して雪上を歩行できるようにするアイテムである。
これがあるだけでゆるい坂ならサクサク登ることができる。
写真は簡易な6本刃のものであるが、
レンタルの軽アイゼンは更に簡易な4本刃である。
白馬の大雪渓に限れば、4本刃で十分という意見もあるが、
機長は6本刃のものを装着しても、雪に食い込んだ刃ごと滑っていた。
案内担当は6本刃で問題なく登っていった。
撮影担当は同様に4本刃でも大きな問題なく登っていけた。
ちなみに案内担当はトレッキングシューズ。
歩きやすいがハードな登山には向かないのが難。
機長と撮影担当はいずれも登山靴。
皮製のものとゴアテックス製のもので、多少濡れても全く問題がない。

雪渓を登る。遥か先まで続いているように見える。
ここでパーティの荷物の配分を修正する。
撮影担当は、デジタル一眼と三脚を持っているため2kg程度重い。
機長は、自身の水の消費量が激しいため6Lの水を携行しており、
これが非常に重く、更に水の消費を促すため、
比較的軽装の案内担当が、機長の荷物を一部負担し、負荷の均等化を図る。
機長のペースは遅いが、
JR白馬駅までパーティを乗せて車を操縦してきたのだから疲労度が高くて当然である。

だいぶ登ってきた。遥か下まで登山者の列。
雪渓の上は冷たい風が吹いていて実に気持ちよかった。

大雪渓が終わると頂上・・・ではなくてここから2時間の岩場のぼりになる。

下には雲が見える。

休憩中は、菓子をちょっとずつ食べ、水もこまめに補給する。
気圧の問題で菓子の袋はパンパンに膨れ上がっている。

雪渓を横断する。
ステップが切ってあるので、アイゼンなしでも登れる。
ただ、滑ると一番下までいきそうで怖い。

村営頂上山荘を経由して白馬山荘へ到着。
既に人が溢れている。

超ピークである今日は1畳に3人である。

相部屋はこんな感じ。1畳に3人、ふとんは2人で1つを使用できる。
まだ人は少ないがこれから激増するであろう。

我々は個室を予約したので、実に快適。
個室は、畳2畳+クローゼット0.5畳+荷物置き0.3畳+玄関0.5畳=3.3畳くらいのスペースだが、
3人で利用するには実に快適である。

記念写真。

2時になってしまったが、とりあえず昼食をとることにする。
メニューは主食系はカレーのみ。1000円。仕方ないので3人ともカレーにする。

大変に巨大な山小屋だ。こんなものが2830mにあるのがびっくりである。
当たり前であるが、水が貴重な頂上直下の山小屋なので、風呂は当然ない。
水で塗らしたタオルで体を拭くくらいで済ましておく。

部屋に荷物を置いたまま、
雨具だけを装着して手ぶらで頂上へアタック。
15分なので、まったりと長時間頂上に居られるのが実に良いな。
もし雨になっても、急いで戻れば5分も掛からない。

白馬岳から見た白馬山荘。
下には村営頂上宿舎が見える。
日本最大・第二位の山小屋が隣にあるんだな。
ガスタービンの「キーーーーーン」という音と、
ブレードの「バババババ・・・」という音でヘリが飛来してきたことがわかったが、
山荘方面は明らかにガスの中だった。
恐らく着陸したのだろう、エンジンを絞る音がしたと思ったら
1分くらいでまたエンジンを上げ、どこかに飛んでいってしまった。
ヘリが着陸できる場所はあるだろうが、
誘導装置がないためにガスの中では着陸はできないはず。
どうなってるんだ?
完全な無視界の中、気流が不安定な山、大重量の荷物を抱えて、
ホバリング限界近い高度を飛べるなんて、航空自衛隊に欲しいくらい錬度が高いパイロットだろう。
シミュレータで試してみると、
前進速度を維持しながら着陸・離陸することで、
地面効果外ホバリング限界高度以上でも離着陸ができる。
ただ、その場合30ktくらいの前進速度が必要なので、50mくらいの滑走路が必要になる。

ブロッケン現象。
山では比較的珍しい現象というが、
我々飛行機ヲタからすれば、それほど珍しい現象ではない。

青い空が美しい。

高空をJALのB747-400が駆け抜けていく。

ALT2900mちょい。
気圧は725hPa。

白馬山荘から頂上を振り返ってみる。
反対側が激しく切り落ちた山であることがよくわかる。
風は左から吹いており、風下である右側は低圧部となり激しく雲が発生している。

夕食は2700円相当だ。
山頂でこれだけの飯が食えるなら十分だ。

食堂は大混雑。

夜に山荘の外へ出てみる。
人工の明かりがまったくないので、きれいな星空が広がっていた。

雨雲が光る様子は、山の上では恐怖を感じる。

翌朝。曇り時々晴・のち雷雨の予報。
早めに下山しないと命に関わるため、4時に起床。5時に下山開始。
結果的には、この判断は大正解であった。
もしあと2時間遅れていたらびしょ濡れに、
更に2時間遅れていたら命が危なかった。
高山病に関しては、
案内担当がやや頭痛を訴える程度で、機長・撮影担当は問題なし。
低高度からゆっくり上がってきたため、高山病にはなりにくいようだ。

朝日に輝く稜線を歩く。

やや渋滞している。

なかなか美しい。
富山県側は、人工物がはるか先まで一切見えない。
休憩地点では、必ず地図を広げ現在地とこれからの進行方向を確認。
自分の場所を把握していれば、周囲の景色がわかって面白い。

荒涼とした稜線。
こんなところで雷雲の中に入ったら・・・・
この稜線での岩場の下りで機長が軽く負傷。
岩で滑り足首を捻りそうになる。
5分ほどの休憩を挟み、なんとか回復。
重登山靴でなければ、一発でアウト(歩行不能)であった。
この点、機長と撮影担当はハイカットの靴なので、足首の捻挫のリスクは低いが、
案内担当はローカットのトレッキングシューズなので、危険性が高い。

高山植物が咲く。
なにげにあちこちが花畑になっており、コマクサが群生していたりした。

3時間ほど歩くと白馬大池が見えてきた。
2380mに水を湛える白馬大池は、流入・流出河川ともになく、
雪解け水によってのみ水が供給されている。

その池にほとりにあるのが白馬大池山荘。
こちらも白馬館グループである。
やはり1畳に3人の配分になっていた。
と、ここで浮き石に躓き、案内担当が負傷。
膝から出血する。
パーティでの荷物の配分を見直し、歩くペースへの影響を少なくする。

赤い山荘がきれいだ。

雷鳥を発見!
かなり保護色になっている。初めて見た。

雪渓を横断する。
やや滑るがアイゼンなしでも行けるレベル。

その後は岩場を急降下する。
足に対する負担が大きいため、休憩を挟みながらゆっくりいく。

そのあとは樹林帯を下る。
展望がないとあんまり面白くない。
やっぱり森林限界の上を歩きたい。

天狗原で休憩。
周囲には湿地帯が広がる。

その後も樹林帯を降下。
遅いと思っていた大パーティ(60人)がすぐ後ろまで接近しているということなので、
早足で歩き続ける。
どうもゆっくり休憩を繰り返してるうちに足の遅い大パーティに追いつかれたようだ。

栂池山荘が見えてきた。
ロープウェイまでは車道歩きで5分だ。

ロープウェイまで到達。あとはこれで下山するのみ。

やっと下界に戻ってこれた。
車があるので、装備を全部放り込み、着替えを取り出して日帰り温泉に浸かる。
2日分の汗と汚れを流さなければ。
ただの健康ランドであったが、人が少なく快適であった。
風呂は貸切だったし。

帰りの中央道では渋滞に捕まり3時間ロスする。

今回もよく頑張ってくれた。
| 区間 | 標高 m |
標準所要 (分:累積) |
実際所要 (分:累積) |
備考 |
| 猿倉 | 1230 | 0 | 0 | 登山口 |
| 白馬尻 | 1500 | 60 | 60 | |
| 大雪渓IN | 1700 | - | 95 | アイゼン装着 |
| 大雪渓OUT | 2300 | 210 | 205 | アイゼン外す |
| 頂上山荘 | 2730 | 330 | 400 | |
| 白馬山荘 | 2830 | 350 | 440 | 宿泊 |
| 白馬岳 | 2932 | 365 | 455 | |
| 三国境 | 2720 | 395 | 530 | |
| 白馬大池 | 2380 | 525 | 615 | |
| 栂池高原 | 1850 | 675 | 830 | 下山口 |
コースタイムと比較すると、2割増しくらいの感じであった。
約11時間のコースを14時間掛けて歩いたことになる。
所要時間の差が大きく、
我々の装備・体力・技術・経験からいって限界に近い山行であったと思われる。
成田ソウル便(NRT-ICN)から見た、北アルプスの山々。11月撮影。
空気が澄んでいれば、このように山頂からかなり遠くまで見えることが予想される。