旅行記


ここは 秋葉原系のいろいろなページ の別館です。


2008/05 グアム

目次

1-本文

2-飛行機の計器類について

3-シミュレータとの違い

4-まとめ


本文


京成電鉄で成田まで。
自宅から成田までは、成田からグアムよりも遠い。


夜に成田を発つノースウェスト航空の便でグアムに向かう。


徐々に日が暮れてくる。


夜のエプロンはなんか模型みたいだ。



大量の米ドル現金。1200USD。
一般に大量の現金を持ち歩くのは非常識だが、
今回はリスクを覚悟の上持ち歩いた。
といってもグアムについてすぐ精算したから結局ほとんど持ち歩いてないのだが。

グアムへは2600km、飛行時間3時間15分。高度39,000FTを巡航する。平均825kmh。
最初に飲み物が配られ、機内食。
その後ぐだぐだしつつ、入国カードを書いていると割とすぐに到着してしまう距離。



ホテルは広く快適。
「地球の歩き方」には高級ホテルとして載っていた。




今回乗るのはセスナ172P型。フライトシミュレータにも入ってるおなじみのタイプ。




解説ビデオを見る・・・はずが、
「フライトシミュレータをそんだけやってるなら大丈夫ですね、いってみましょう」
ということでいきなりフライト。
本当に大丈夫か?




誘導路を走り、燃料補給ポイントまでいく。




燃料をガンガン食わせてやってくれ。ハハハハ!

ちなみに税金が安いアメリカだが、原油高の影響で自動車用ガソリンは120円/Lするし、
航空用ガソリンは更に高く240円/Lだという。

ちなみにセスナ172の燃費は6km/Lだから相当に悪い。
空を飛んでるからしょうがないのだが。


操縦席内部。



滑走路06R(3000m)から離陸。
あまりに余裕があるので、intersectionDEPERTURE(滑走路の途中から:1600m相当)で離陸。
もちろんフラップアップのままである。
桶川飛行場のときは、離陸はフラップ10、着陸は20だった。


離陸の時は機首上げが弱すぎ上昇してからいったん高度が下がってしまった。
離陸時の失速が怖かったためだが、
もうちょっと強く引くべきだった。

仮にGPWS(地上接近警報装置)が搭載されているとすれば、
「DON'T SINK!」(降下するな!)の警報が鳴ったはずである。




なかなか良い景色。

早速、ストール(失速)を試す。
エンジンを絞るとすぐに高度が落ちようとする。
ここで高度が落ちないように徐々に操縦桿を引いていくと、速度が急激に落ち、
ストールする直前には、プーーーという失速警報が鳴るが気にせずに操縦桿を引き続ける。
35〜40ktくらい(積載条件により異なる)で、ストールする。

ストールすると、荷重が抜ける感覚(ふわっとする)と共に高度が下がる。
ここで操縦桿を目一杯押し、機首を下げると速度が上がり、ストールから回復する。

この一連の操作で失う高度は僅か100ftくらいだった。
(とはいえ30mくらいは落っこちることになる。無重力感覚が苦手な人はきつそう。)
意外とあっけないくらいで、セスナ172の安定性の高さに非常に感心した。




アンダーセン空軍基地。
基地上空も飛べないことはないようだがATCが面倒なので普通はしないとのこと。



片手で操縦桿、もう片手でスロットル調整。




高度8500ftの高高度フライト。(写真は違います)
最良上昇速度の75ktを維持しつつ、マックスパワーで上昇する。
5000ftを超えると空気が薄くなってきて上昇率が落ちる。
8000ftまでいくと水平飛行で100kt出すことはできず、
75ktくらいが限界速度になる。

下は常夏の島だが、この高度までくるとだいぶ涼しい。気温15℃。実にさわやか。

景色はジェット機から見る景色なのだが、
自分で操縦しているだけあってなんだか不思議な感覚。





南端のココス島付近は綺麗なさんご礁が広がる。


雲の間を縫って飛ぶ。
気分はエースコンバット6。
エースコンバット6をやる時は対地ミッションから始めて、
低空飛行でSAMと対空機関砲をかわしつつ目標にミサイルを撃ち込むのが
いつものパターンなのだが、まさにそんな気分になる。

谷底を飛ぶというわけにはいかないものの、
(最低高度制限があるため)
雲の間を飛ぶのはいかにも空を飛んでいるという感じで気持ちよい。

ちなみに、VFR(有視界飛行)では、
雲の底から500ft、頂上から1000ft、横から2000ftの距離を取ることになっている。
雲の中からIFR(計器飛行)の飛行機が飛び出してくることもよくあるし、
同じようなVFRの機があるかもしれない。
空中衝突したくなければ、絶対に守るべき規定である。





ありがとうございました。



2日目終了。しばし休憩。





いかにもグアムというべきビーチ。
海水浴したのは、たぶん20年近く前だろう。




海はさすがに超綺麗。




キリスト教国に来たら教会は基本だな。
なんとも写真のとりがいのありそうな雰囲気だが、
南国の教会は明るめのインテリアで写真では普通。



中心部の繁華街から6kmくらい離れた場所にある TWO LOVER POINT
日本語では恋人岬だが、別に性別を限定しているわけではない(TWO LOVERなので)。
全国3万人(推定)の百合ップルの皆さんどうぞ。



眺めは良い感じ。



壁紙にできそうだ。


ま、飛行機から見ちゃったあとだけどな。
写真は飛行機から見た恋人岬。



遠くにはグアム国際空港が見える。




ホテルに戻り夕飯。
外食してもよかったが、ホテルで食べたほうが落ち着くので、
適当に怪しげなカップ麺と菓子を買い夕食とする。




これは漫画家の人らしい。 ⇒参考





セスナ172は、マニュアルに記載のある制限荷重としては-1.7〜+3.8Gだが、
これはクリーンな状態の話で、経年劣化等を考えると
ここまでやると空中分解する可能性が高いという。
おまけに、マイナスGになるとエンジンが停止する。

教官の経験則で大丈夫な範囲は、「0.5G〜2.0G」くらい。
「0Gは短時間なら大丈夫」とのこと。

「マニュアルは、本当の限界値だ。車みたいにマージンはない。」
「限界はどうやって知るのかって?事故が起きれば原因が究明されて、
 マニュアルに加えられるんだ。ここまでやったら駄目だったんだ、ってね。
 だからこのマニュアルは血で染まっているとよく言われるんだ。」


レクチャーを受け、再び空へ。



ハンガーからスタートし、滑走路6Rまで移動。
滑走路の途中から、約1600mを使用して離陸するが、実際には300mほどの滑走で離陸できる。



ATCに3000ftまでの上昇許可を貰い、
積雲をゲーム感覚で左右に回避しつつ上昇する。

まさにエスコン6で谷底を飛ぶ感覚だ。
雲なのでぶつかってもゲームオーバーにならないしな。

3000ftに到達すると「レベルオフ!」と声を出し水平飛行に復帰する。


超低空飛行。
高度100ftまで降下した。(写真は500ft、まだまだ高い。)

仮にGPWS(地上接近警報装置)が搭載されていた場合、
「TOO LOW ! FLAPS!!」(高度が低すぎる!フラップを出せ!!)
の警告音が連呼されるはずである。




(写真は500ft)


周囲に建物や人がいる場合、制限によってできないので、
低空飛行をしたいならば海面上になる。
100ftだと、横を見るとまるで高速道路を走っている車のよう。
あるいは、高速船に乗って航海しているよう。
これもまさにエースコンバット!

これ以上高度を下げると、
バンクを取った時に機首上げが遅れると翼が海面に接触する恐れがあるためダメとのこと。

「もしここでエンジンが壊れたら?」
「海面に突っ込むしかないですね。」だそう。

実際には、フルフラップで33ktまで減速しながら、
波の山を過ぎたところを狙って突っ込めば、
機体は全壊するものの死ぬかどうかは微妙なところ。
絶対にやりたくはないけどな。


南端にあるココス島付近は、訓練用の空域になっているのでここでなら派手なことができる。




0Gに挑戦する。

90ktで巡航中に機首をゆっくりと上げ続け、
50ktまで落ちたところで操縦桿を押し戻す。
機内は無重力になる。
5秒くらいで機首は下を向き正面に海面が見える。
90ktくらいまで加速したら機首を上げ始める。
1.5G〜2Gくらいでリカバリー。

機首上げが弱すぎると制限速度を超過し空中分解、
機首上げが強すぎると制限荷重を超過し空中分解、
どっちにしろロクなことにならない。
このへんはシミュレータで十分に練習した甲斐があったかも。


無重力飛行は、人の操縦だと非常に怖いが、自分の操縦だと実に楽しい。
落っこちる感覚はなく、まさに「宙を浮く感覚」。クセになりそうだ。


やはりこれも仮にGPWSが搭載されていれば、
「SINK RATE!」(降下率過大!)の警報が鳴るはずで、
回復が遅れた場合には、
「WHOOP WHOOP , PULL UP!!」(機首を上げろ!)の警報が鳴るはずである。
生では絶対に聞きたくない音声の1つである。



海岸線の直上を飛ぶ。左右に細かくバンクし海岸線上を維持する。結構むずかしい。


なかなか綺麗。バンク角0度を維持。


やや左バンク。5度くらい。


高度1300ftを維持し、滑走路へ向かう。


見えてきた。
アプローチは70ktを維持。

ちょうどノースウェスト航空の飛行機が隣の滑走路に着陸するところだった。
ノースウェスト航空、はるか後方に見えていたのにどんどん追いつかれ、
結局追い抜かれた。
相手は150ktくらいでアプローチしているであろうため、こちらの2倍の速度である。

大型機が飛行した近くを飛ぶのは非常に危険。
後方乱気流でマジで墜落する恐れがあるので、間隔をあけなければならない。





グアム国際空港の滑走路は、
06R/24L 3000x46m
24R/06L 3000x46m

どうしてもシミュレータのクセで低めのアプローチになってしまう。
教官に「パワー!」と言われスロットルを開けられる。

よく考えれば滑走路は余裕なんだしPAPIが4つ白になるくらいで丁度いいのかもしれない。
(ちなみに気付くと4つ赤とか・・・)


写真は短いほうの06R(2400m)だが、300mで離着陸できるセスナには十分すぎるほど長い。
幅も十分にあり、多少左右にずれたくらいなら全然OK。
離陸のときも多少斜めになってもOKOK。
実に余裕のある滑走路で、超初心者向きといえそう。

桶川飛行場の滑走路600mには、「本当に降りられるのかよこれ」みたいに感じたが、
さすがにその5倍もあれば余裕と言える。




LowApproach
滑走路直情を低空飛行で通過する。(車輪は滑走路にはつけないギリギリの高さ)
高度10ft〜20ftくらいを保つが、一定高度を保てずに上下にふらふらしてしまう。
方向を正しく保つのはそんなには難しくない。

高度が下がる⇒地面効果で揚力が強くなる⇒上昇⇒地面効果が弱くなる⇒降下

を繰り返してふらふらふらふらだった。
速度は70kt(130kmh)を維持。
2400mの滑走路を1分ちょっとで通過するが、
終わりの600mくらいでマックスパワーにして高度を維持しながら速度を上げ、
最後に急上昇。

YOUTUBEとかにあるローパス飛行機特集と同じことができて非常に満足。
写真は上昇過程の時の写真なので高度は高い。


45度バンクターン。
やや血液が下に集まる感覚を楽しみながら、
エルロン、ラダー、エレベータの3舵を両手両足で調和しつつ定常円旋回を維持する。
結構難しい。
綺麗にマスターするだけで1時間は掛かりますよと教官は言っていた。



(イメージ画像)

60度バンクターンでは、操縦するだけで必死。
全身が超重いし、重い操縦桿を目一杯引いて、
かつラダーを踏み定常円旋回を維持するのはかなり大変。
昇降率をゼロになかなかセットできず、多少上下したが、
下がった昇降率をリカバーするときには2.5Gくらい掛かったかも、と教官の弁。
リカバーする時は操縦桿を全部引いたと思う。
速度は80ktくらいを維持、
エンジンはマックスパワーだったが高Gのため速度は釣り合っていた。

正面を見ると地面はほとんど縦に見えるのに重力は下に掛かる不思議な感覚である。

教官も結構必死だったようで、
「ひさびさにこの感覚きましたよ」と言っていた。よって写真なし。
これはなかなか戦闘機気分を味わえた。



緩降下しながら速度を上げ、速度は120kt(126ktGS)。233kmh。
自分が運転した乗り物の中で最速記録を更新。

巡航速度の90ktくらいまでならば、
どんなに操縦桿を引いても、
揚力が増えて危険ラインのGに達する前にストールするため、分解する心配は少ない。
だが高速飛行中は少しの変化で大きなGが掛かるため要注意ではある。

車と違い、速度を出すと操縦桿は重くなる。


旋回して滑走路のパスに乗る。
高度1300ft。
1500ft以上は北にあるアンダーセン空軍基地の降下ルートになっているため上昇できない。


滑走路06Rに正対する。
降下率500ft/min、速度70kt。
あせらずゆっくりと降下する。

「フラップ・ダウン!テン!」と確認しフラップを出す。

滑走路06RにはPAPIはついてないが、隣の06Lにはついている。
よく見ると、滑走路脇に「●●●●」というライトが確認できる。
これは適正な高さであることを示す。

4つ赤だと低すぎ危険なのだが、油断しているとすぐに4つ赤になってしまう。
一定の降下率を維持するのは非常に難しい。



無事に着陸し、滑走路上を40ktでタキシングして、10ktまで減速し誘導路へ入る。
40ktのタキシングは相当速いが、こうでもなければかなり時間が掛かってしまう。

旅客機もこのくらい飛ばしてくれれば離陸までの時間が2分くらい短くなりそうだ。


よくがんばってくれた。


ありがとうございました。


グアム国際空港


帰りのノースウェストの便にチェックインしようと思ったら、なんじゃこりゃ。
どうみてもWindows2000です。
本当にありがとうございました。


これ地球の歩き方に載ってたな。



アメリカにもアニメ雑誌あるんだな。


中身はこんな感じ。



帰りの飛行機は高度38,000ftを巡航する。
写真はロタ島。

ロタ島までセスナで飛ぶのもおもしろそうだ。
往復1.5時間くらいらしいので、
高高度飛行のついでにロタ島を目指したり、なんてのもおもしろそう。




航路から考えると小笠原諸島が見えるはずだが、100km近く離れているため見えず。
残念。
グアムから距離的には近いはずの小笠原諸島まで行くのは非常に面倒な予感。

「まぁ距離は近いけど行くのは大変」といったら、
やっぱり標津町⇔国後島とかだろうが。



機内食。



月が翼の上に浮かんでいた。



到着。
ボーイング757始めて乗った。


2-飛行機の計器類について


高度計
速度計と並んで最重要な計器。
読み方は時計と似ている。
写真の表示は8340FT。約2.5kmの高度を飛行中ということになる。

高度は油断するとすぐに上がったり下がったりしてしまう。


水平儀
昼間のVFR(有視界飛行)ではそれほど使わないが、
角度を決めてバンクターンするときは、バンク角の確認のために使用する。
それ以外はわざわざ水平儀を見るよりも、
前の景色の地平線を見たほうが速くて便利で直感的。

気流が悪いとすぐに10度くらいはバンクしてしまう。

バンク G  
15度 1.03 通常の旋回で使うバンク。これでも結構旋回できる。
操縦桿はやや軽めに引く程度。着陸降下中は引かなくてもOK。
ちなみに鉄道ではカント110m+振り子で12度までのバンクが最大。
30度 1.15 通常の旋回で使うバンクの最大値。操縦桿をやや引く。
一般のエアラインでもこのくらいが最大。
Gは1.15Gなので、エレベータが動き出す瞬間に似ている。
45度 1.4 一般に急旋回。
操縦桿をかなり引き、ラダーを強めに踏まないと定常旋回できない。
重力を強く感じて気持ちよい。
100ktで行う場合、旋回半径は250m、一周に16秒掛かる計算。
したがってちょっと方向転換をするならば45度のバンクは必要ない。
60度 2 かなりの急旋回。
操縦桿を目一杯引き、ラダーを相当踏み込む。
重力が強く、操縦するのがきつくなってくる。
水平旋回を維持するのは結構難しいが、何とかできた。
70度 3 曲技飛行レベル。
セスナ172では空中分解する可能性がある。危険ライン。





速度計
最重要な計器。
今回のセッティングでの速度は以下の通り。

速度      
33kt     フラップダウンの時の最低速度の目安。
僅か60km/hで飛べることになる。
44kt     フラップアップの時の最低速度の目安。
この速度を切ると失速するか、勝手に機首が下がり高度が下がる。
55kt     離陸の時のVR(機首上げ速度)
70kt     最良滑空比が得られる速度。下降・着陸の時はこの速度を維持する。
エンジンが壊れた場合もこの速度を維持して着陸する場所を探す。
75kt     最良上昇率が得られる速度。上昇の時はこの速度を維持する。
85kt     フラップダウン(20度以上)時の最高速度。
90kt     巡航速度。
巡航出力にセットして3000ft以下を飛ぶときはだいたいこの速度。
105kt     最大出力にセットしたときの水平飛行での最大速度。
110kt     フラップダウン(10度)時の最高速度。
普通、水平飛行でフラップを出しているときは抵抗が大きく、速度はでない。
127kt     通常の最高速度。水平飛行ではここまで速度は出ず、
意識的に機首下げして降下しないと無理である。
158kt     気流が安定している時のみ許可できる最高速度。
これを超えると空中分解する。

1kt=1.852km/h
(ただし海面上での値。高度1000ftごとに同じ1ktでも約2%速度が上がる。)


ちなみに他の飛行機と速度を比べてみる。

  セスナ172 B-747 F22 ベル206
失速速度 33kt 120kt 100kt? N/A
巡航速度 90kt 280kt ? 90kt
最大速度 105kt 370kt 700kt? 130kt
超過禁止速度 127kt 370kt 700kt? 130kt




昇降計(右)・方位儀(左)

昇降計は垂直方向の上昇・下降を示す計器である。1目盛りは100ft/min(0.5m/s)。
昇降計もかなり頻繁に使う。
数値を正確に読み取ることはあまりなく、
アバウトに降下しているか上昇しているか水平飛行かの確認に使う。

数値を正確に読み取る必要がないのは、
上昇中は「上昇率を一定にセット」するのはなく、
「速度を一定(75kt)にセット」するためである。
そのため、エンジンパワーがある低空では75ktで上昇中でも高い上昇率が、
高空になってくると75ktのままでもだんだん上昇率が悪くなってくる。


方位義は、機体の向いている方向(進行方向ではない)を示す計器である。
これもアバウトに読み取る程度である。
バンクターンの練習をしていると、
何周もくるくる回っていると自分の方向が分からなくなるのでこれで確認できる。



タコメーター。
車のタコメーターと同じ。
セスナ172のエンジンは160馬力だが、5000cc4気筒とかなりサイズが大きい。
車のエンジンの場合、160馬力というとだいたい2000ccで達成できる。
その代わり、セスナ172のエンジンの場合はこの排気量を軽量化と信頼性向上に当てている。

高速道路によく故障車が停まっているのを見るが、
車の場合は路肩に停まる程度で済むが、
飛行機の場合はエンジン故障は破滅的事態をもたらす可能性が高い。
信頼性確保は必須といえる。

ちなみにセスナ172の場合、
エンジンが故障した場合、滑空比9であるから今いる高度の9倍の距離まで到達できる。
高度3000ftの場合、約8km先まで飛べるので、
その範囲で安全に着陸できる滑走路や道路や空き地を探すことになる。
滑空時の速度は70ktで、これより遅くても速くても到達できる距離は短くなる。
降下率は800ft/minとかなり大きくなる。


タコメーターは、車と違い割と正確に読み取る必要がある。
詳細は以下のとおり。

rpm    
800   地上でのアイドリングの回転数。
1100   地上を走行(タキシング)するときの回転数。
10〜20ktくらいでタキシングできるが徐々に速度が上がるので、
速度はスロットルではなくブレーキで調整。
1700   離陸前にエンジンチェックで使用。
ここまでならばブレーキをしていれば機体が動き出すことがない。
2000   上空で、これ以下の回転数にするときは
キャブヒートを引かなければならない。
急激にエンジン温度が低下して損傷する可能性がある。
2200   通常のクルージング(巡航飛行)の最低回転数。
2300   通常のクルージング(巡航飛行)で使用。クルージングパワー。
2500   離陸時・上昇中に使う最大出力。マックスパワー。
2700   レッドゾーン。これを超えると破損する。




すべり計
機体がどの程度横に滑っているかを示す。
横の滑りは、ラダーで調整することができる。
中央の黒い玉が中心にあればOK。ずれている場合、
ずれた方向のラダーを適正量踏むとずれが戻る。

左右に目一杯ずれている場合はフラットスピンに陥る危険性があるので要注意。
高度が十分にあれば回復できるが、高度が足りない場合はどうにもならない。


エンジンの残燃料と、エンジンオイル温度とエンジンオイル圧力。
この辺は自動車と変わらない。



3-シミュレータとの違い


シミュレータ(マイクロソフト・フライトシミュレータX)と、実機を比較して、
シミュレータの再現度を考えた。


再現度は5段階評価。
★★★★★ シミュレータと同じでびっくりしたレベルのもの
★★★★   おおむね満足できる再現度。シミュレータで練習する価値大。
★★★    そこそこの再現度。とりあえずシミュレータで練習しておくのが良い。
★★      あまり参考にならない。
★       まったく勝手が違う。

項目 再現度 コメント
計器類 ★★★★★ まさにシミュレータそのまま。
使い方もそのままなので絶対に覚えておくべき。
始めてセスナ172に乗った時は全く同じで感動したくらいである。
操縦桿の感覚 ★★ 実機は速度が高いと操縦桿は重くなり(これは車と逆である)、
また操作量が大きいほど操縦桿は重くなる。
その辺が再現されておらず、
意外と大きな力が必要なのが意外であった。
まぁ、多少重いほうが、安定させる意味では都合が良い。
タキシングの
感覚
★★★★ 実機は多少ラダーの切れ角が悪いが、
例えばコーナーから直線に復帰するときに
逆方向に一瞬だけカウンターを当てる感覚などはシミュレータと同じ。
僕は最後までフラフラしてしまったが、
よく練習しておけばきっちりとまっすぐに走れるようになると思う。
離陸の感覚 ★★ 左に流れる感覚、気流の乱れの感覚など、あまり参考にはならない。
上昇・巡航の感覚 ★★★★ 概ね特性は同じ。絶対に練習しておくべき。
アプローチの感覚 ★★ シミュレータではエレベータによって高度を調整することが多いが、
実際にはエレベータでは速度が上下するだけで
まともに高度が変わらない。
ここはスロットルで調整するのだが、この辺の再現は微妙。
着陸の感覚 全然違う。ほとんど参考にならない。
グアム島 ★★ シミュレータでのグアム島は無人島のような寂しさ。
だが、VOR/DME・NDBなどの配置は同じため、
計器類で位置を特定するときには練習になる。
空港 ★★★★ 空港の滑走路や誘導路の配置は同じため、
どこから出発してどこの滑走路まで行く、というような練習に使える。
空港内の配置が分かるだけでもタキシングが随分気分が違う。
特にセスナ172では大型機と違い視点が低いので、
いま自分がどこにいるかわからなくなる。
絶対に練習しておくべき。
ただしグアム国際空港に関しては、
シミュレータでは6R/24Lのほうが短くて細いが、
拡張工事が終わっているため実際にはどちらの滑走路も同じ大きさである。
ラダーの感覚 ★★ 実機ではそれほどラダーの踏込み量はいらなかった。
多少踏めば十分。
シミュレータでは、感度をやや弱めにしておくことを推奨する。
気流の乱れ 実際と全然違う。
この辺は自然のカオスな現象が相手だけに難しいのかもしれない。


教官いわく、やはりシミュレータをやっている人は素人に比べて上手いと言う。
だが、悪い癖として「計器を見続けてしまう」といわれた。(僕も言われた)

実際には9割以上の時間を外を見て、1つの計器は0.5秒しか見ない。
それを順次チェックすることが必要である。

「VFRなので外見ないとマジでぶつかります。」とのこと。
確かにシミュレータでは外を見る必要は殆ど無いので、
計器を見続けてしまうクセがつく。改善が必要である。


あとシミュレータ意外には、ラジコンがある。
ラジコンやっている人は操縦全般はシミュヲタのほうが上手いものの、
着陸はラジコンの人が圧倒的に上手いという。


4-まとめ


予算が限られているので、
時間の許す限り飛びまくるというわけにはいかなかったものの、
予算$1200(食費等滞在費を含む)の中で以下のメニューを組み込めた。

    飛行時間 メニュー
2日目 午前 0.6h インストラクション、
基本操縦操作の習得、ストール
  午後 1.9h 島1周、30度BankTurn、45度BankTurn
Touch&GO、高高度飛行
3日目 午前 1.0h 超低空飛行、無重力弾道飛行
60度BankTurn、LowApproach

1時間あたりの総旅費は6万円くらいだったので、旅費を含めても日本より安かった。

総飛行時間3.5h、総飛行距離600km(推定)、使用燃料100L(推定)